先週末は家におらず、13連戦のラスト3戦はスマホ(GLS)で飛ばし飛ばしの観戦になりました。
GLSはジャイアンツ主催試合と一部ビジター試合(阪神やDeNAなど)だけしか見られないけど、スマホ視聴ならDAZNより軽くて快適です。
3戦は全てが僅差のゲームで、うち2戦は1点差!
ジャイアンツの勝負強さと終盤のリリーフ陣の堅牢さが目立った試合でしたね。
もう終わって時間の経っている試合なのでそれぞれ本当に簡単に気になった部分だけ。
1戦目は戸郷にとってさらに成長につながる試合だったと思います。
四死球を6個も出す苦しい展開でしたが、粘りに粘って7回を1失点。
いつもなら先輩たちに任せて6回くらいで降板するのにこの日は7回を投げ切り球数も116球を記録しました。
きつかったと思うけどこれからのジャイアンツを背負うエース候補としてひとつ超えなければいけない壁を超えてくれたのかもしれない。
個人的に、やるなぁと思ったのが山田との勝負。
5回の3打席目は3-0(BSO)からフォーク、ストレート、フォークでサードフライ。
7回の第4打席の大ピンチでも2-0からストレートでゲッツーとカウントを悪くしてからも果敢に勝負し見事打ち取ることに成功しました。
1打席目に初球150キロのストレートを完璧にとらえられポール直撃のホームランを打たれてしまったので怖さはあったと思うけど逃げずに戦う姿勢にエースの資質を感じました!
最悪打たれてでも戸郷の成長を促すような首脳陣の采配も個人的には素晴らしいと思いました。
2戦目、3戦目はたくさんのヒーローがいた中でも、鍵谷をはじめとしたリリーフ陣の頑張りが一番かな。
ジャイアンツの今季の勝ちパターンは、6回までなんとか先発に頑張ってもらって7回は高梨や大竹、8回は中川、9回はデラロサという流れだけど、鍵谷や大江も良い働きをしてくれてるので勝ちパターンが2個つくれそうですね。
鍵谷が8月28日の試合で2失点し敗戦投手になってしまったときは結構叩かれてて悲しかったけど汚名返上のナイスピッチングをしてくれてとてもうれしかったです。個人的に好きな選手の一人なので!
良いスライダーを十分に活かした大城のリードも良かった!
今村・メルセデスの両先発は中盤までは100点でしたが、6回の壁に阻まれた感がありましたね。
でも今村は途中まではエース級だったし、メルセデスからはチームを勝たせるんだという強い責任感のようなものが感じられたのでこれまでとは少し違うように見えました。
両投手には次回も期待したいと思います。
そして、この3連戦で一番印象深かったのはやっぱり原辰徳監督の「球団歴代1位・通算1067勝達成」!
2002年4月3日に監督初勝利を挙げてから20年弱(就任14年目)、9月11日の試合に勝ち、ついに川上哲治さんを超えて球団史上最多勝利を記録しました。
- 2002年4月3日監督初勝利
- 2003年5月3日通算100勝
- 2006年8月5日通算200勝
- 2007年9月25日通算300勝
- 2009年4月30日通算400勝
- 2010年5月13日通算500勝
- 2011年8月20日通算600勝
- 2012年9月12日通算700勝
- 2014年4月4日通算800勝
- 2015年5月26日通算900勝
- 2019年7月30日通算1000勝
- 2020年9月11日通算1067勝

球団史上最多勝利、本当におめでとうございます!
読売ジャイアンツは1934年に、ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグが中心となった全米選抜野球チーム来日に合わせて結成された全日本チームを母体にして「大日本東京野球倶楽部」として設立されました。

それから80年以上の長い歴史がありますが、監督を務めたのはわずか12人。

DAZNより
DAZNが配信している、ジャイアンツの2019シーズンを振り返った特集「ジャイアンツ・ドキュメンタリーシリーズ」に監督室の壁に飾られている歴代監督のサインが映っていました。

配信当時は藤本定義さんと藤本(中上)英雄さんのサインがなかったけど、現在は12名全員のサインが揃っています。
- 藤本定義
- 中島治康
- 藤本英雄…「球道一心」
- 三原脩…「日々新たなり」
- 水原茂…「道」
- 川上哲治…「不動心」
- 長嶋茂雄…「野球というスポーツは人生そのものだ」
- 藤田元司…「われら誇りある立ち居振舞を」
- 王貞治…「氣力」
- 原辰徳…「和と動」
- 堀内恒夫…「風林火山」
- 高橋由伸…「置かれた場所で咲きなさい」
原さんと由伸の字の上手さにはビックリですね!
置かれた場所で咲きなさい…( ;∀;)
→【巨人】監督室には歴代名将による全12枚の直筆色紙…貴重写真を入手
これらの監督の成績を上位5人だけあげると以下の通りです。
- 原辰徳(02~03、06~15、19年~)
1069勝798敗61分(勝率.573) リーグ優勝8回、日本一3回 - 川上哲治(61~74年)
1066勝739敗61分(勝率.591) リーグ優勝11回、日本一11回 - 長嶋茂雄(75~80、93~01年)
1034勝889敗59分(勝率.538) リーグ優勝5回、日本一2回 - 水原茂(50~60年)
881勝499敗29分(勝率.638) リーグ優勝8回、日本一4回 - 藤田元司(81~83年、89~92年)
516勝361敗33分(勝率.588) リーグ優勝4回、日本一2回
さすがジャイアンツ、どの監督も凄いしリーグ優勝と日本一の数が半端ない!
ジャイアンツ最強の監督は誰?と聞かれたら、川上さんや水原さん、藤田さん、そして原監督を挙げる人がほとんどかな?
長嶋さんは選手としては超一流ですが監督としての手腕には疑問を持つ人がたくさんいるみたいですね。
故・野村克也さん曰く【対マスコミということでは天才的で誰も真似できないが監督としては失格。選手を育てられないし、管理もできない。采配にいたっては勘とひらめきだけ。悪く言えばピエロ。】とのこと。厳しすぎる…
私は原さんと由伸くらいしか知らないのでそのほかの歴代監督の能力はよく分かりませんが、wikiや野村さんの本でそれぞれの監督の特徴を知って、皆偉大な方だったんだなぁとしみじみ思いました。
特に「巨人大好き」の野村さんの本「巨人軍論」には、球界のパイオニアとしてアメリカの最新の野球をいち早く取り入れ「おれたちが日本野球の歴史をつくるのだ」という強い使命感を持って戦ったジャイアンツの歴史や監督についていろいろと書かれていて非常に面白かったです。
まず野村さんがプロの世界に入った1954年にジャイアンツを率いていた水原茂さんの話。
原さんもYouTubeで少し触れていましたが、「マジシャン」の異名をとる名監督三原脩さんに代わってジャイアンツの監督に就任したのが早慶時代からのライバルだった水原さんでした。長嶋さんの前のスーパースターだったらしい。
水原さんはアメリカの戦術や戦法を海外キャンプで貪欲に吸収し、「ブロックサイン」や「ツープラトンシステム」「ワンポイントリリーフ」「ヒットエンドランを監督のサインで、カウントツーボールで行う」「選手、監督のほかにコーチを置く」「守備固め」「先発ローテーション」などを初めて採用・確立したそうです。
今では当たり前になってることがそれまでは無かったのかと思うとちょっと不思議な感じもしますね。
野村さんの話では、この当時のジャイアンツの戦力は素晴らしく、タレントという意味では史上最強といっていいかもしれなかったとか。クリーンアップは青田昇さん、川上哲治さん、千葉茂さん。投手陣には別所毅彦さんや藤本英雄さんら。
水原さんはそれらのビッグネームをひとつにまとめ、システマティックなベースボールをプラスした偉大な監督だと野村さんは高く評価しています。
しかし、水原さんはアメリカの野球の戦略や戦術を採用したものの「紹介」したにすぎなかったとも書かれています。
それらメジャーリーグのスタイルを自ら消化し、チームづくりや戦術において「実践」したのは次の監督である川上さんであると。
川上さんはアル・カンパニスの書いた「ドジャースの戦法」という書物を読み、「少ない得点を隙のないチームプレーで守り抜く」という当時のドジャースのスタイルを学んで実践。
ドジャースがキャンプを張っていたフロリダ州ベロビーチのドジャータウンで春季キャンプを行って、自身はアル・カンパニス本人から指導を受け、選手たちにはメジャーリーガーたちの真剣な態度、とくに精神面を学ぶよう厳しく言い渡したそうです。
このときに監督や選手が学んだ戦術や戦法が「V9」の基礎になり、ジャイアンツだけでなく現在のプロ野球全体のスタンダードになったのは間違いないとのこと。
ドジャースの戦法に毎年新しい戦術やスタイルをプラスしていった川上さん。野村さんはそれこそが川上さんの本当の凄さだと述べています。
「柴田勲さんを日本初のスイッチヒッターとして育てた」「宮田征典さんを日本初のクローザーとして起用した」「さまざまなトリックプレーやサインプレーを生み出した」「外様のコーチを採用したり、ランニングコーチとして野球とは無縁の人間を招きいれた」「日本で初めて広報係を置いた」など、野球界に革命を起こしたそうですね。
興味深かったのは、1961年に川上さんが監督に就任した当時のジャイアンツは豊富な戦力を有していなかったという話。
3割バッターは長嶋さんだけで、王さんは三振王とやじられるほど不安定な選手、そして投手陣もエースだった藤田さんがピークを過ぎて肩痛で苦しんでおり、頼りになるのは前年新人王を獲った堀本律雄さんと伊藤芳明さんくらいで、チーム打率・防御率ともにリーグ最低クラスだったらしいです。
そこから育成やトレードなどで個性豊かな選手たちを揃え「適材適所」のオーダーをつくり上げたというところが凄いですね。
野村さんも、当時の川上さんなら強打の4番打者ばかりを集めることも可能なのに、出塁率の高い選手や足の速い選手、小技が使える選手など、それぞれの役割に合う選手を集め育成したことの素晴らしさを熱く語っています。4番集めに勤しんでいた少し前のジャイアンツへのアンチテーゼでもあるのかな(笑)
ジャイアンツ歴代の偉大な監督たちの戦略や戦術を調べていて気付いたのは、それぞれの監督の特徴が原監督の采配にも大きな影響を与えているということです。
例えば、今年シーズンが延期になって不安な毎日を送っていた原監督を力づけた三原脩さんは、当時から2番に強打者を置く「流線形打線」というオーダーを組んだり、総合的には一流ではないけど守備や走塁、打撃などで一芸に秀でた選手を「超二流」と呼び好んで起用していたそうです。
→【巨人】原監督、定まらない開幕まで「日々新なり」“三原魂”…21日から練習試合DeNA戦
現在2番は主に松原が担っているけど丸や坂本といった強打者を置いたり、増田のような走塁のスペシャリストを積極的に使うなど、よく似たものを感じます。
もしかしたら日本でわりと早めに2番に強打者を置いたのはセイバーメトリクスの考え方によるものではなく、三原さんリスペクトなのかもしれませんね。違うかな(笑)
そのほかにもたくさんの類似点を見つけたのでその度にメモを取っておいたのですが、うっかり紛失してしまったので身近なオールドファンの方に聞いてみてください。
野村さんは長嶋さん同様原さんに対してもあまり良いイメージを持っておらず、ポリシーがないとか監督の器を感じないといろいろな媒体のインタビューで語っています。
ですが、私は「勝利至上主義」と「実力至上主義」という絶対的な価値観や考え方のもとに柔軟に動けることこそが、戦略レベルで常に相手より上位の戦力を整えられることと並ぶ原監督の凄さだと思います。
王さんが球団最多勝利のセレモニーで「3度巨人軍の監督を務められて、その都度監督業たるものを自分なりに咀嚼している」と言っていたように、時代に合わせてどんどん思考や知識をアップデートしていけるところも凄いですよね。
歴代監督の良いところを積極的に学び、それらを時代に合わせて昇華していく、まさに「温故知新の名将」といったところでしょうか。
他のチームはジャイアンツの伝統そのものと戦っている気分になるかもしれません。
最近Amazonプライムで中国の歴史ドラマ「三国志 Three Kingdoms」が配信されたのでときどき見ているのですが(今は曹操と袁紹の官渡の戦いのところまで)、原さんは少し曹操に似たところがありますね。「勝利至上主義」や「実力至上主義」は当然として多才なところやユーモアのあるところなどなど。
ちなみに原さんは著書で曹操のようになりたいと語っています。残酷かつ冷淡で手段を選ばないところも含め。
諸葛亮や上杉鷹山などの名前も挙げているので歴史上の人物からもいろいろ勉強しているのでしょう。
一次政権や二次政権の頃までは原監督に匹敵・凌駕する能力を持った監督もいただろうけど、今は監督も世代交代のときで経験に乏しい監督も多数います。
この3連戦では相手の采配で助かったと思う場面もありましたし、それ以外でも今シーズンは指揮力の差を感じる場面が少なくありません。
どの監督もこれから経験を積み素晴らしい監督になっていくんだと思いますが、現時点のセ・リーグでは原監督の能力が飛び抜けているのは間違いないと思います。
ただ、いつまでも原監督に頼るわけにもいかないので後継者を決め育ててもらわないといけませんね。これに関しては原監督がやり残した仕事のひとつとも言っていました。
三原→水原→川上→長嶋→藤田→王と、以前のジャイアンツは監督が次の後継者候補を見極め育てていくレールがあり、これもジャイアンツの強さの一端で「伝統」と呼ぶべき力だったと野村さんは言っています。
そういう意味では原さんの突然の退団でいきなり監督になった由伸は可哀想でしたね。
なので今度こそ次代の監督をしっかり見極め原さんの近くに置いて育ててほしいなと思います。原さんは元木コーチを気に入ってるけどやっぱり阿部二軍監督になるのかな。
でも原さんの契約はまだ残っているしまだまだ若いので今後も最多勝利を更新し続けてほしい気持ちも大。
いつか勇退されるその日までジャイアンツ歴代最高クラスの名将の采配を楽しみましょう!
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