マツダでの3位カープとの3連戦は、3-5,0-2,7-5の1勝2敗という結果に終わりました。
2戦目が終わった時点でジャイアンツの貯金は0になり、現時点で首位ヤクルトとのゲーム差は13.5。チーム状況も雲泥の差だし今年の優勝はかなり厳しい…。
ならば他の部分に面白みを見つけるしかないと思っても、微妙な采配と大量失点を打線がどうフォローするか、というような試合ばっかりでチームとしての成長があまり感じられません。
個人的には、優勝は難しいので試合に負けても若手を積極的に使って未来のために経験を積ませる方向へ舵を取ってもらいたい気持ちでいっぱいなんですが、ジャイアンツはそれができるチームじゃないというのも理解しています。
1戦1戦を現時点での最強メンバーで戦い勝ちにいく、捨て試合は許されないのがジャイアンツですから。
今日も3回までカープ打線をノーヒットに抑えていた堀田を、4回途中3安打1失点で交代させたことに不満を抱いている人がたくさんいた気がします。
ジャイアンツOBの堀内さんも「3連続ヒットは打たれたもののまだ1点取られただけ。俺はもう少し堀田に投げさせても良かったんじゃないかと思ったよ」と自身のブログに綴っていました。
堀田は将来が期待されている投手なのでどんな苦い経験でも財産になるのは間違いないけど、ここで続投し打ち込まれて追撃が難しい負け確状態にはしたくなかったというのが原監督の考えだったのでしょう。
賛否両論ありますが、私的には交代もやむなし。
3回まで抑えられていたのも相手の打ち損じのおかげに見えたし、4回に菊池・マクブルームの2連打の後坂倉にあわやホームランの特大のファウルを打たれ、その次のボールを簡単にセンターに弾き返される始末…。
捨て試合と割り切れるなら続投もありですが、負ければ3タテ+3位転落ですからね。原監督の気持ちも理解できます。
それにしてもオープン戦で活きの良いストレートをバシバシ投げ込んでいた堀田はどこにいったのやら…。
現時点で自慢のストレートの被打率は.320で、空振りが奪えていないのも深刻です。(空振率5.75%)
テレビで見ても以前のズドン!からフワ~という優しいボールに変わったのが分かるくらい。
なぜこんなにストレートの質が悪くなってしまったのか不思議ですが、まずはオープン戦のような球威のあるストレートを投げられるように調整してもらいたいですね。
そうすればチェンジアップやスライダーなど他のボールも活きてきて三振ももっと奪えるようになるはず。
150キロを超える力強いストレートを軸にたくさん三振を奪う支配的な投球が早く見たいです。
堀田の後は戸根→鍬原→高木→赤星→高梨→平内→大勢と合計8人の投手で必死のリレー。
7回に赤星が2点奪われてしまいましたが、これは岡本さんのエラーと重信の緩い守備がなければ防げていたのでリリーフ陣の自責は0です。
今年は失点の多さが話題になっていますが、これは投手陣の責任だけじゃなくて野手陣の守備が原因でもあります。
チームのUZRは-19.7で12球団中10位。ポジション別に見ると平均より上の守備はファースト(増田陸)、セカンド(尚輝)、ショート(坂本)のみ。
2019年は10.0で2位、2020年は-0.3で8位、2021年は0.3で7位と安定していたんですけどね。
特にヤバイのは外野で、レフト(ウォーカー)・センター(丸)・ライト(ポランコ)の全てのポジションで大幅マイナス…。
ウォーカーとポランコの影に隠れて丸も相当深刻です。特に守備範囲。
今年もなんでそれが落ちるの?という場面が多々ありました。菅野がオーバーアクションしていたことも。
ウォーカーとポランコも守備範囲は激狭なんで今年のジャイアンツの外野はガバガバ状態。
松原が去年の調子を維持してくれてればセンター守備を任せられたけど、ウォーカーはレフト固定で丸もレフトかセンターが基本。(ライトは2014年に27イニング守ってからはまともに守ってない)
攻撃力を優先するなら今後も外野守備の安定を望むのは厳しそう…。
となると、ジャイアンツの今の勝ち筋は今日のような打ち勝つ野球しかない。
坂本神の2本のホームランは本当に素晴らしかったし9回の丸のソロも効果的でしたが、個人的には8回の石川→尚輝のタイムリーツーベースが印象に残っています。
何度も言っているように石川の使い方はランナーなしがベスト。
なんでもいいからとにかく塁に出ろ、という状況ならこの試合のような技ありのヒットだけでなく粘って四球も十分期待できる。
逆にランナーありの場面では難しいことを指示されたり大きいのを狙ったりするのであまり期待できません。
そして尚輝もよく打った!
最近は8番で湿っぽい感じだったけど今日のマルチを機に状態を上げてほしいですね。
そんなこんなで3戦目はなんとかカープに打ち勝つことができ3タテは逃れたのですが、やっぱり守りが不安定な状況ではヤクルトのように勝ち続けることはできません。
昔から「打線は水物」といいますし、短期決戦ならともかく長いペナントシーズンで優勝するのは守備が安定し失点が少ないチームだと思います。
これは野球だけではなく多くのスポーツに共通することで、例えばサッカーでもEPLに所属しているリヴァプールの監督クロップさんはなにかのインタビューで「人は守られているからこそ攻めることができる」的なことを言っていました。
ドルトムント時代から高い位置でプレスをかけ得点を量産する超攻撃的なイメージがあるクロップサッカーですが、今季のチーム失点は26点でこれはマンCと並んでリーグの最小失点です。
4枚のDFが全員平均採点ランキングトップ20に入っているチームなので当たり前といえば当たり前だけど、就任してしばらくはたくさん点を取られてました(特にセットプレーは酷かった)。
けれど、センターバックのマティプとファン・ダイク、そしてキーパーのアリソンを獲得したことで守備が安定し始め、前線にもマネ・サラー・フィルミーノといった点を取れつつ守備意識も高い選手を置くことで現在はリーグでもトップクラスの守備力を誇っています。
クロップがファン・ダイクをクラブの歴代最高額となる7500万ポンド(約122億円)で獲得した時は「7500万ポンド?彼にそんな価値はない」「CBに支払われるべき額じゃない。狂った金だよ」など多くの評論家から辛辣な声が上がりましたが、ここ数年の彼の活躍を考えると大成功といえるでしょう。
守備が安定していれば攻撃にも良い影響を与えます。
マティプやファン・ダイクがセンターラインをしっかり固めているからこそ、SBであるロバートソンとアレクサンダー・アーノルドが両サイドから高い位置を取って攻撃に参加できアシストを量産できるんです。
EPLでジャイアンツに近いチーム状況なのは名門マンチェスター・ユナイテッド。
クリスティアーノ・ロナウドを筆頭に点を取れる選手は揃ってるけど、ヴァランとマグワイアの二人のCBは存在感を示せずリーグ13位の57失点を喫してしまいました。
特にマグワイアは2019年にDF史上最高額の8000万ポンド(約131億円)でチームに加入しゲームキャプテンも務めているのに、不安定なポジショニングやイージーミスなど失点につながるプレーを連発。
来季はアヤックスのテンハーグ(テン・ハフ)監督が指揮を執るので今よりはマシなサッカーをするのは間違いないと思うけど、昔のように優勝争いができるチームになるにはもう少し時間がかかりそうですね。
同じ街のライバルであるマンCの方が強くなってしまったことやお金はあるけど補強下手なところ、なによりも守備がボロボロなところが最近のジャイアンツと重なります…。
サッカーは移籍市場が活発なのでチームブランドと豊富な資金力さえあれば良い選手を獲得することは難しくはありません。
なのでマンUもテンハーグ監督の戦略・戦術がチームに浸透し、それを実行できる選手が揃えば数年で以前のような強いチームに戻ることも十分可能だと思います。
しかし、NPBは違います。
逆指名はなくなり移籍市場もほぼ機能していないので急にチームを強くすることはなかなか難しい。
そうなるとドラフトで獲得した若手をしっかり育てることがチームを強くする一番の方法になるのですが、若手を育てるのと試合に勝つのを両立するのは簡単ではありません。特にジャイアンツのようなチームは。
菅野・坂本・丸といった主力選手もここから能力が上がっていくことはないので、長い冬の時代が来るかもしれませんね。
ジャイアンツは「強い」ということがアイデンティティのひとつになっているチームなのでファン離れが心配です…。
コメント