沖縄でのオープン戦3戦目は1-2でヤクルトに敗れ、阿部ジャイアンツは初黒星を喫しました。
両チームともに一線級の選手はあまり出ていなかったし、開幕はまだまだ先なので勝敗は気にしないでOK👍
最終回の送りバント作戦について
ただ、最終回の攻撃はいろいろと考えさせられました。
2点ビハインドのノーアウト一二塁で、打者オコエに「送りバント」を指示。これは賛否両論ありそう。
一番多そうなのは、「シーズンに入ればこの采配はしないだろうけど、オープン戦かつ緊迫した場面なので選手に経験を積ませるには悪くない」という意見あたりでしょうか。
私自身はオープン戦なのでいろいろなことを試せばいいと思っていますが、もしシーズン中ならこの場面での送りバントは後ろ向きな感じがしてあまり好きではありません。
無死一二塁の送りバントの3つの確率
色々と思うところのある最終回の送りバント作戦。
確率的にこの送りバントは正しいのか正しくないのか、大きく3つの要素で考えてみました。
送りバントの成功率
まずは「成功率」。
無死一二塁での送りバントは、フォースプレイの関係上バントを成功させるのが難しく、成功率は75%程度と言われています。
ただ、もう少し細かくみていくと、1点ビハインドの場面と2点以上ビハインドの場面では後者の方が成功率が高く、81%程度は成功しています。これはおそらく守備側の意識の問題。
送りバントをすることによる得点確率
次は「得点確率」。
無死一二塁でバントをした時の得点確率は、相手がエース級(tRA3.50未満)の場合や、こちらがある程度の強打者(wOBA.350超)以外であれば多少なりとも高くなります。
wOBA.350超がどのくらいのバッターかというとちょうど昨季の大城(.351)くらいですね。なので強打者の大城が最多犠打というのはいかにクレイジーなのかが分かります☹
送りバントをすることによって2点以上得点できる確率
最後は「2点以上得点できる確率」です。
この確率に関しても、ある程度の強打者(wOBA.350超)以外ならバントをした方が高くなります。
ただし、3点以上取れる確率はどのような場面でもガクッと落ちてしまうのでせいぜい2点どまり、今回のケースなら同点どまりと考えた方がいいでしょう。
最終回の送りバント作戦の感想
- 2点ビハインドの状態なら無死一二塁でも通常よりは成功率が高くなる
- 相手投手やこちらの打者のレベルによっては得点確率や2点以上取れる確率が高くなる
これらを総合すると、今回の最終回の送りバント作戦は「同点に追いつく」ためなら絶対やってはいけないというわけではなさそうです。
しかし、良くて同点どまり。3点取って逆転できる確率はかなり下がる作戦でした。華もないし、見てる方は面白くはない。
とにかく、最終回に勝負を決めにいくという作戦ではないということですね。
8回にやるのならまあいいんじゃないかなという感じですが、釈然としない。
特に阪神のように後ろに強い投手がいるチーム相手にはどうなんでしょうね…。
まあ、阿部監督が彼我の戦力を十分に分析し、延長戦に持ち込めば勝機があると確信した上で、さまざまな確率を考慮してこの作戦を実行するのなら、 今シーズンのジャイアンツは華はなくても「強い野球」を見せてくれるとは思います。
さいごに
最近の野球はデータが重要視されるようになってきました。
例えばメジャーなら、投手は打者の打球速度が少しでも遅くなるコースや球種で徹底的に攻め続けるとか。
もちろんデータ野球が強いのは間違いありません。しかし個人競技やターン制競技は最適化していくとあまり面白く感じられなくなっちゃうんですよね…。
そんな中、アンチ近代野球的な発言の多い阿部監督がどんな采配をするのかとても興味深く思っていました。
めんどくさい話なんですが、個人的にはデータは大事だと思っているし、昭和の精神論野球みたいなのは嫌い。だけどとにかく強いだけの面白くない野球はしてほしくないんです。ジレンマ…
そんな思いから、阿部監督率いる今年のジャイアンツがそういうデータ重視の状況に一石を投じてくれるんじゃないかと密かに期待していました。
今季は編成担当者のおかげで良い選手が揃っているので、例えばバント多用による期待値損失は選手たちの有能さと頑張りでどうにか帳消しにするなど、面白い野球をしつつ優勝もできるんじゃないかなんていう無茶な期待です😅
でも、阿部監督が今匂わせている「昭和野球」が実はブラフで、本番が始まれば徹底的なデータ重視の采配を振るとしたら、普通に選手たちの力が反映されたシーズンになり、順当に阪神かうちが優勝して終わりそうですね。
開幕が近づけば少しずつ本当にやりたい野球が見えてくると思うので、今後も阿部監督の采配に注目したいです。
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