11月8日 対ヤクルト24回戦・東京ドーム
2020年レギュラーシーズン本拠地最後の試合はジャイアンツファンの記憶に一生残る試合になりました。
試合内容については…
初先発となった横川凱が丁寧なピッチングで5回を3安打1失点に抑え勝ち投手の権利を持って降板。
前回の初登板時は特に印象に残らなかったけど、この試合はなんというか重そうなストレートが良い感じでした。
腕の角度はスリークォーターくらいだけど高身長を活かした体重の乗った球を投げていた気がします。
球質的に三振をバンバンとれそうな気はしないのでもっと球速を上げてコースを丁寧につく投球ができればゴロの山を築くピッチャーになりそう。
ナイスピッチングでした!
しかし6回からの継投で4番手の田中が制球の乱れからピンチを迎え、山崎に逆転満塁ホームランを被弾…。
数々の偉大な投手が通ってきた道ですね。ドンマイ…!
2年目でこの経験を一軍で積めたことは大きいと思います。
今後先発やリリーフとして登板するとき、「打たれたくない」という気持ちをより強くしてくれることでしょう。
結局この一打が決勝点となりホーム最終戦は敗北です。
打たれた田中豊樹も10月2日の阪神戦で1失点して以来11試合連続無失点で抑えていたんですけどね…。
やっぱりプレッシャーは相当なものだったのか、いつものような投球はできず、最後の一球も押し出しを恐れてか完全に置きにいったボールに見えました。
それだけ点を与えたくなかった、チームを勝たせたかった、ということなのでしょう。
本当にプロの世界は厳しいですね…。
気持ちを切り替えて頑張りましょう!
もちろん試合に勝てれば最高でしたが、この試合多くのファンが注目したのはやっぱり坂本キャプテンの通算2000本安打!
残り試合もあとわずかとなり、本拠地で戦えるのはこの試合が最後。
こういう場面で1打席目にきっちり決められるのが「持っている」と言われる所以なのでしょう。
球団広報を通じて「早く打ちたいという気持ちがあったのでほっとした」的なコメントをしていましたが、それが表情に表れていました(笑)
相手チームの山田に花束も渡されて少し照れくさそうにしているところが印象的でした。
史上53人目、球団では6人目となる2000本安打達成、本当におめでとう!
勝手なイメージですが、これまで2000本安打を打った選手はほとんどが40歳前後で全盛期を過ぎていて、「なんとか達成できた」的な感じがしてました。
けれど、坂本はこの試合ホームランを含む3安打を打ち、一気に2002本まで記録を伸ばしました。
まだまだ推進力を失っていないところを見て、もしかしたら本当に3000本も夢ではないかもという気持ちにさせてくれました。
本当にすごい選手だ!
この試合はデーゲームだったのでもう少し早く記事を書きたかったのですが、記念セレモニーを何度も見たり、月刊ジャイアンツの坂本特集なんかを見ていたらいつの間にか日付が変わっていて…。
坂本特集というのは、だいたい1年くらい前から掲載されている「HAYATO SAKAMOTO 2000安打へカウントダウン」というコーナー。
坂本に縁のあるたくさんの人たちがいろいろなエピソードを語っていて、それがとても興味深い!
まずは坂本をスカウトした大森剛編成本部統括スカウト。
2000年からスカウトになった大森さんは坂本を1年の秋に初めて見たとき、ショートとしての雰囲気、シルエットを見て「この子はいい!」と思ったんだそう。周りの評価は「腰高、股関節が硬い、肩が弱い」などもあったらしい。
そして2年のときには「20年に一人の逸材。巨人に必要だ。欲しい。」と思ったとテレビのインタビューで答えていました。
良い選手や欲しい選手は第一印象からドラフトまで全く変わらないらしいのですが、それが坂本だったとのこと。
2006年の高校生ドラフトは駒大苫小牧のマーくんか愛工大名電の堂上かで迷った末に堂上を指名したジャイアンツ。
チームとしての特A評価は投手ではマーくんと現ロッテの大嶺祐太、野手では堂上の三人だけだったようです。
けれど大森さんは野手では坂本が一番だと思っていたようで阪神、中日との抽選の際は「原監督、頼むから外してくれ」と心の中で叫んでいたんだとか(笑)原監督、グッジョブ!
原監督はこのドラフトに臨むにあたって「内野にスーパーヒーロー、スーパースターをつくりたい。」と語っていました。その夢は堂上ではなく坂本が叶えましたね。
大森さんはリーグ史上6人目となる三冠王という実績を携えて、1989年に慶応大からドラフト1位でジャイアンツに入団しましたが、通算7年で打率は1割台、27安打5本塁打と球団が期待したような結果を残すことはできませんでした。
けれど、坂本勇人というNPB史上に残る偉大な選手を発掘し、球団に大きく貢献したというところが興味深いですね!
次に福王昭仁さんの話も面白かった。
坂本は才能と強い体、そして努力によって今の地位を築いたという話です。
当時内野守備走塁コーチを務めていた福王さんは、まず今まで見た高卒選手とは比べものにならないくらい強い坂本の体に驚いたそうです。
シーズンに入ると試合があろうが1日練習しようが、その日のメニューが終わると欠かさずノックと打撃練習を行っていたらしい坂本。ホームだけでなくビジター後も。
後にも先にも福王さんが休養を勧めた選手は坂本しかいないと語っていました。
当時寮長を務めていた樋沢良信さんの話では、坂本は「もっと努力すればよかった」と泣きながらジャイアンツをやめていく選手の姿をじっと見ていたらしいので最後の時に悔いが残らないように必死に頑張っていたのかもしれませんね。
最近は若手に良い影響を与えるために皆の前で努力している姿を見せることも増えてきた坂本ですが、若いときでも誰よりもたくさん練習していたということが分かる興味深いエピソードでした。
最後に福王さんは「もし坂本の一軍デビューがあと2、3年遅れていて、二軍の練習量で鍛えていたとしたら間違いなくメジャーに行けるレベルになっていたのでは」と締めくくっていました。
決してメジャーに行くことがいいこととは思わないけど、世界の舞台で戦う勇人を見たかった気もすると。
私は日本で最後までプレーしてもらいたい側の人間ですが、バケモノ揃いのメジャーでショートとしてプレーする坂本という世界線を見たい人も多いかもしれませんね。
そういえば坂本から「メジャー」という言葉が出たことはほとんどない気がしますが、坂本の恩師である金沢成奉さんが面白い話をしていました。
坂本は今でも自分がうまいと思ったことはないと言っていて、金沢さんも坂本から「メジャー」という言葉を聞いたことがないらしく…
もしかしたら坂本は自分がメジャーのレベルにないと思っているんじゃないかと金沢さんは推測しています。
けれど、自分が下手だと思うからこそ山田や筒香ら年下にアドバイスを求めたり打法すらも変えられるんだとか。
光星学院で1年秋からショートのレギュラーとして活躍していた坂本。
当時の坂本は本当にワルで指導というよりも戦いだったと金沢さんは振り返っています。
なんとか生活態度を改めさせようとする金沢さんの前に鼻ピアスで野球を辞めると言ったことも(笑)
「やる気にさせようとしてもその手には乗らない。俺がプロに行けるわけがない」
こんなことを言っていた坂本がNPB歴代最高のショートになったのは、金沢さんが坂本を諦めなかったからかもしれませんね。
元々、ヘッドが下がり気味で人と違う打ち方だった。直そうとも思った。けど光星学院高の金沢監督は「直さなくていい。それがお前の良さだから」と言ってくれた。「お前はボールのラインに合わせて打ちにいけ」と。ありがたかった。僕には「上からボールをたたけ」と言うことはなかった。あそこで、もし違う打ち方をしていたら、今の僕はなかった。
こうやって話をまとめていると、坂本は本当に人に恵まれていることがよく分かります。
坂本の負けん気の強さを形成したであろうお母さん。「よその子に負けるな」といつも言われていたらしい。
坂本自身、世代最高クラスの素質を持っていたのに、それ以上の素質を持つマーくんに出会えたこと。
素晴らしい先輩や指導者に出会えたことなど。
まさに「天の時は地の利に如かず。地の利は人の和に如かず。」ですね。
1年目の5月12日の姫路での試合に、最初で最後の生観戦をしたお母さんの前で初回ツーランホームランを打ったこと、優勝争い終盤の劇的決勝打となったプロ初安打を打ったこと、そしてこの試合できっちり2000本安打を決めたこと。
かつての同僚や阿部、そして私を含め多くのファンが「坂本は『持っている』選手」だと言っていますが、本人は「よく『持ってる』とか言われるけど、何が?という感じ。勝負強いね、と言われるなら分かるけど」と報知の記者に語ったそう。
ここぞという大事な場面で最高の結果を出せるように毎日厳しい練習を積んで準備をしているから「運」みたいなものだけで片づけて欲しくないということなのかも。
でも、やっぱり彼は『持っている』と思いますけどね(笑)
長くなりましたが、2000本安打本当におめでとう!
後は最高の状態で日本シリーズを迎え、最高の結果を得るだけですね。
チームの状況は良いとはいえないけど、坂本の記録達成でチームの状態も上向きになってくれればと思います。
それにしても原監督のスピーチの最後は面白かった!
原監督の「最後に」という言葉からまさか…?と何かを感じ取り……
予定外の無茶ぶりに心底嫌そうな顔をする菅野。面白くてこのシーン何度も見返した。
甥っ子じゃなきゃできないリアクションでしたね。
終始ニコニコしていた坂本も印象的でした。
読売ジャイアンツ、本当に良いチームだ!!

今日は1日このマスクで過ごします!
コメント
もう何と言ったらいいんだろう、坂本は凄すぎるよね!ヤンチャなエピソード含め、人間力というのか、ただただ凄い人間だなとしか思えない。今回、坂本に関しての色んなエピソードを知るにつけ、人間臭さ含め、ここまで完璧な人間ているんだなと、ただただ感心することしきりです。すでに伝説の人物の域に達してるのではないかと思うくらいです。そのうち坂本の伝記本なんかも出版されるでしょうけど、是非これからの少年少女達に読んでもらって、人生のバイブルにしていただきたい。
恥ずかしながら巨人ファンさん、コメントありがとうございます。
昔のエピソードが出てくるたびに全部「やんちゃだった」って言われてるの面白いですね(^^)
当時の坂本を取り巻いていた大人たちの苦労がしのばれます(笑)
でもそんなやんちゃな坂本だからこそたくさんの人と繋がれたんでしょうね。
坂本の伝記本、私も読みたい!
一打席目で決めるのは流石坂本ですね。個人的には本拠地では無理かと思ってました。3000本も大怪我がなければ達成出来ると思いますが、45歳ぐらいまで頑張ってほしい! ただそのあとの田中、もう擁護する余地も無かったですね。まさかここまで打たれ弱いとは…。ちょっと失望しましたね。横川君はスライダーのキレを磨いて、真っ直ぐが148ぐらい出れば面白いピッチャーになるかもですね。
Fujiwaraさん、コメントありがとうございます。
みんなあと1本となると足踏みしたりすることもあるので坂本も苦戦するのかな~と思いましたが、彼はやっぱり違いましたね(^^)
ここぞというタイミングで颯爽と決めてくれます!
勝ちゲームにできてたら最高でしたけどね~。実に残念でした。
田中もあまりに叩かれすぎてちょっと気の毒ではありますが、ああいう場面できっちり抑えられる投手になってほしいですね!
なんたって19番背負ってますから!
Minamiさんこんにちは。
日本最高のスーパースターがまた一つ球史に記録を刻みましたね。
坂本に人徳があったからこその人の和なのでしょうね。
ドームで流された映像は記録までを振り返るだけのムービーだったのにまるで引退のような気持ちになり少し涙が出ました。
いつまでも元気でプレーしてもらいたいものです。
トラウタニさん、コメントありがとうございます。
同じく…私もウルウルしてしまいました!引退するわけでもないのに(笑)
でもこれまでの頑張りを想像するとどうしても感極まってしまいますね。
あとはずっとジャイアンツにいてくれてありがとうっていう感謝の気持ち(^^)
まあ、坂本神はまだまだこれからですから!きっと3000本も達成してくれると信じてます!