パルクールとは
「パルクール」はフランスの軍事訓練から発展して生まれたもので、全日本パルクール連盟代表理事の荒本英世氏によると、「パルクールはスポーツではなくてトレーニングの文化、自分の体と身の回りにあるものを使って自分自身を鍛えていく概念がメイン」とのことです。
パルクールとは、走る・跳ぶ・登るといった移動に重点を置く動作を通じて、心身を鍛えるスポーツ(運動方法)です。ただし、パルクールが包括しているフィールドは非常に幅広く、スポーツ(運動方法)という言葉だけで表現できるものではありません。 現在、パルクールは日本を含め世界中で様々なスタイルで実践されており、移動術、トレーニングメソッド、パフォーマンス、アート、ライフスタイルや哲学など パルクールの捉え方は多岐に渡っています。
パルクールの動画を見ると、まるで忍者のように障害物を飛び越えたり、高い壁に昇ったり、高いところからきれいに受け身を取って降りたり…
人間ってこんな動きができるんだなぁと感心しながら見ています。
失敗すると高確率で大怪我を負いそうなので自分ではやりたくないけど、上手な人のはいつまでも見てしまいますね。迷惑系のは絶対駄目だけど。
パルクールトレーニングを行うプロ野球選手
そのパルクールをトレーニングに取り入れるプロ野球選手が近年増えてきているらしいです。
その筆頭株はオリックスの山岡泰輔投手。
山岡泰輔のパルクールトレーニング
山岡投手は、昨シーズン勝ち切れないイメージを払拭して13勝(4敗)を挙げ、勝率.765で最高勝率のタイトルを獲得しました。
172cmとプロ野球投手の中では小柄ですが、150キロを超えるストレートと球界一とも言われるスライダーを武器に体格のハンデを感じさせない活躍をしています。
実は山岡投手はツイッターでよくパルクールトレーニングの動画をアップしています。
今日は練習前のアップを紹介します👌
練習前のアップでパルクールをします!
最初は難しかったですけど
上手く体のバランスを
取れれば出来るようになります🙆♂️
パルクールはバランス感覚の練習や
体を自分の思い通りに動かす
練習にもなります👍
pic.twitter.com/fCQXe6plSf— 山岡 泰輔 (@at091389) 2020年4月26日
一線級の投手だけあってさすがのバランス感覚ですね!
山岡投手は以前から体幹強化の効果があるといわれているAXFのネックレスを着けたりと、体幹やバランスには人一倍気を配っている印象があります。
少し気になったのは山岡投手がトレーニングで履いている靴です。
「地下足袋」のように見えますが、パルクールの選手の中には足袋を好んで使用している人も多いそう。
地下足袋は接地感覚に優れていて丈夫で滑りにくいので、足場を組む鳶職の職人さん同様パルクールにも適しているらしいですね。
山岡投手が履いているのは株式会社丸五さんが作っている「スポーツジョグⅡ」という商品。紐がついていて一見スニーカー風です。
有名選手が集まる合同自主トレ
今年の1月には山岡投手に加え、オリックスからは杉本、近藤、榊原、ホークスからは高橋礼と松本裕樹、楽天・森原康平、阪神・高野圭佑、カープ・羽月隆太郎ら、有名プロ野球選手が集まり合同自主トレを行っています。
➡ソフトB・高橋礼「パルクール」トレで初完投狙う「結果を出さないと蹴落とされる」 |スポニチ
昨季新人王を獲得した高橋礼はもちろん、64試合に登板し防御率1点台だった森原など、期待の投手がたくさん。
松本裕樹も3月のオープン戦で自己最速の152キロを出して、工藤監督に「オフの取り組みがよかったと思う」と褒められていたので期待できそうです。
パルクールを取り入れたトレーニングジム「マックズ」
山岡投手は瀬戸内高校時代から広島にある「Mac’s Trainer Room BASEBALL」(マックズ)というジムに通っていて、そこでのトレーニングの一環としてパルクールを取り入れているそうです。
➡Mac’s Trainer Room BASEBALL 公式サイト
ジムの代表は有名トレーナー高島氏
ジムの代表は2001年にオリックスにトレーナーとして入団し、MLBのワシントン・ナショナルズでも活動していた高島誠氏。
「ドライブラインに勝っている」「高校生なら140キロは絶対投げられる」など、これまでの経験と実績に基づいた自信溢れる発言が注目されている有名トレーナーです。
現在は、2007年オフから開業したジムでの活動と並行して、各地の病院でのコンディショニングサポートや広島・武田高校野球部のトレーナーを務めています。
野球におけるパルクールの効果
高島氏は投球パフォーマンスを高めるための要素として「筋力」「身体操作性」「筋出力」「柔軟性」の4つを挙げていますが、パルクールはそれらの能力を向上させる効率のよいトレーニングだとか。
その中でも「身体操作性」は非常に重要な要素で、イチローさんをはじめ多くのトップアスリートが「思い通りに体を動かす力」の重要性を語っています。
前出の荒本氏も、自分の身体操作、身体感覚というものがきちんとできていない人は、競技・スポーツのために必要な技術が入ってこないと言っていました。
人間の基本動作が全て含まれていると言われるパルクールの動作を繰り返し行うことで、自分の体を思い通りに動かす力が自然と身に付くそうです。
さらにパルクールで鍛えられるのは運動能力だけではなく、思考力や問題解決能力、精神力など多岐にわたるとのこと。
パルクールの基本である、目標を定めその目標を達成するためにプランニングし実行する、失敗の許されない場面で結果を出すこと、などは厳しいプロの世界でも必要不可欠な能力のような気がしますね。
最新の機器を使ったピッチデザイン
マックズは投球パフォーマンスを向上させるためにパルクール以外でも様々なことを行っています。
特に、球質を数値化できる「ラプソード」や投球のフォームやリリースポイント、手首の動きなどを高速で撮影できる「ハイスピードカメラ」、肘へのストレスを計測することができる「モータス」など最新の機器を活用した「ピッチデザイン」はこのジムの大きな特長です。
打者は「抜けカット」が一番打ちづらいという話を聞いた山岡投手は、ラプソードやハイスピードカメラを活用して習得に励んでいるそうです。
これらの機器を使って、自分の投げる球の特徴や改善点を客観的に分析し、理想の球質に近づけることができます。
これからの指導者に求められるのはデータを活用した指導
現在は多くの球団がトラックマンを導入し、投球の細部まで数値化できていますが、一番重要なのは「収集したデータを活用して投手の理想のピッチングに近づけること」です。
データ収集までは機械がやってくれるので問題ないけど、そのデータの活かし方が分からない指導者が多いみたいですね。
今の時代は、そういうアップデートできない指導者に代わって、テクノロジーを上手に使いこなして選手の進化を促せる新しいタイプの指導者が求められているのかもしれません。
さいごに
プロ野球が開幕したら、ジャイアンツとホークスを応援しつつ、パルクールトレーニングを行った選手たちにも注目したいと思います。
山岡投手曰く、「結果が出ているから継続しているだけ。自分は高校の時から、何を言われても自分に合わないなと思ったらやらなかったし、それは今でも変わらない」とのことなので、合う合わないは選手によると思いますが、今伸び悩んでいる選手は試してみてもよいかもしれませんね。
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