プロ野球開幕が6月19日に決まり、開幕カードを含めて約1か月分の日程も発表されました。
いよいよ野球シーズンの開始ですね!
シーズン開幕に合わせるように最近は野球関連のニュースも豊富に供給されはじめましたが、今日私が気になったのは「姿勢推定AIアプリ」のプレスリリースです。
姿勢推定AIアプリ「Deep Nine」とは
株式会社電通(代表取締役社長:五十嵐 博)は、東京大学松尾豊研究室発のAIスタートアップ株式会社ACES(エーシーズ、CEO:田村 浩一郎)、株式会社GAORA(ガオラ、代表取締役社長:東 龍一郎)、株式会社共同通信デジタル(代表取締役社長:細田 正和)と、野球選手の特徴分析や能力強化、怪我の予防をサポートする新たな姿勢推定AIアプリケーション「Deep Nine」を共同開発し、サービス提供を開始しました。国内プロ野球球団への試験導入も決定しています。
人間の行動や感情を検知する技術を軸に画像認識アルゴリズムを開発しているACESという会社が、スポーツ専門チャンネルを運営しているGAORAや共同通信と共同で開発した「Deep Nine」というアプリのサービス提供を開始したというニュースです。
ACESは東京大学教授・松尾豊さんの研究室に在籍していた学生たちを中心に2017年に設立された、まだ新しい会社です。
同社で技術顧問も務めている松尾さんは日本のAI研究の第一人者で、著書の「人口知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの-」はAIの入門書として有名です。
私も表紙の絵(イヴの時間)に惹かれて購入しましたが、AIの歴史や今後の展望について素人でも理解できるように分かりやすく書かれている良書だと思いました。
今回リリースされた姿勢推定AIアプリケーション「Deep Nine」は、AI技術を使用してカメラで撮影した映像から選手の身体情報を定量化(数量で表すこと)し、分析できるというものです。
すでに国内プロ野球球団への試験導入も決定しているらしいです。楽天かDeNAあたりかな。
少し前にACESが「SHARON」(シャロン)という画像認識サービスの提供を開始したというニュースを見たので、そのAPIを利用してアプリを制作したのでしょう。
「Deep Nine」の活用例
「Deep Nine」の活用例としては、以下の3つが挙げられています。
他の身体情報測定・分析機器との比較
「Deep Nine」と同じように身体情報を測定・分析できる機器として挙げられるのは、昨年9月にリリースされた投球解析ウェアラブルデバイス「motus BASEBALL」(モータス)です。
モータスはセンサーを搭載したスリーブを肘に着用して投球することで投球動作の数値やトレーニング量、肘のストレス値データを取得・蓄積することができ、そのデータを活用して怪我の予防やパフォーマンス向上、トレーニング設計、コンディショニング管理などができます。
厳密には違うと思いますが、大きな括りでは「Deep Nine」とモータスはどちらもAIの「機械学習」を利用した製品です。
「Deep Nine」はカメラで撮影した映像から身体情報を抽出するのに対して、モータスはセンサーで身体情報を計測するという違いがあります。
また、「Deep Nine」は投球だけでなく打撃や守備などの身体動作も分析できるのに対して、モータスは投球に特化したデバイスです。
一方で、両者には共通点もあります。
例えば、どちらも選手の身体動作とパフォーマンスとの相関を分析することで、選手の能力強化や怪我の予防に役立てることができます。
また、どちらもクラウド上にデータを蓄積し、選手やコーチ、スカウトなどがアプリやウェブサイトからデータを閲覧・分析できるという機能を持っています。
機械学習と野球の関係
「機械学習」とは、データから学習することで、適切な知的ふるまいを人工的に実現すること、もしくはその研究分野を指します。
有名な「ディープラーニング(深層学習)」はこの機械学習の一種です。
これらのテクノロジーで集めたデータを活用して選手の育成や強化、怪我の防止を行うのが最近の野球界のトレンドですね。
値段はピンキリ(ラプソードは100万円以下、トラックマンは2000万円以上)ですが、比較的安く導入できる機器は学生野球にも導入されていて、怪我の防止や効率的な練習に一役買っているようです。
スポーツの中でも野球は特に数学的な分析に適しているので、それぞれのシチュエーションに合わせたプレーの期待値を算出できれば戦術・戦略の最適解をある程度導き出すことができます。
最近ではデータスタジアムがAIの機械学習を用いて、失点抑止に最適な配球を予測するAIの設計に成功したというニュースも流れました。「AIキャッチャー」というものですね。
➡「失点抑止に最適な球種・コース」を提示するAIの開発に成功 日本テレビ系プロ野球中継内での利用が決定
オープン戦で一度導入されていたのを見ましたが、まあ…まだまだ時間がかかりそうな出来でした。なぜかフォークばっかり要求してたような気がする。
「AIキャッチャー」は今季地上波で流れるジャイアンツ主催試合の一部で表示してくれるみたいなので要注目です。
さいごに
こうして膨大なデータから野球を最適化することについてはすごいなぁと思う反面、少し味気なく寂しい気もします。
試合に関しては、時には多少分が悪くても予想を裏切られるような刺激的でドラマチックな選択を期待したい気持ちもあるので複雑なところですね。
でも、選手の育成や強化については怪我を防止できて、それぞれの選手の能力を十分に引き出せるなら…それはとても素晴らしいことです!
今後は、並外れた「天才」の出現率は変わらないかもしれないけど、最新テクノロジーを活用して自分の能力を限界まで引き出した「秀才」がたくさん現われるような時代になっていくかもしれません。
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