2月1日から始まった2023年度ジャイアンツ春季キャンプ。
気がつけば第2クールが終わり、チーム初実戦の紅白戦も行われました。
原監督のコメントを聞いていると、今のところはかなり満足しているようで昨年より強度も精度も高い練習ができているみたいですね!
今回はキャンプ中にジャイアンツの選手たちが行っているユニーク?な練習法について。
ジャイアンツは注目度が高いチームなのでちょっと変わった練習をするとすぐにマスコミに大きく取り上げられるんですが、その中で個人的に気になった練習をいくつかピックアップしたいと思います。
当て捕り用グラブを使った守備練習
一つ目は川相昌弘総合コーチが内野手を中心に練習させている「当て捕り用の板グラブ」を使った捕球です。
昨季のジャイアンツの総失点は589点(1試合平均4.12)でリーグワースト…。
先発投手陣のWARはリーグ2位だったので、失点を増やした大きな原因はWARリーグ最下位のリリーフ陣とワースト2位の失策数を記録した守備陣だったと思われます(チームUZRは約-18)。
ジャイアンツといえば攻撃というイメージを持っている人も多いですが、2020年と2021年の失策数はかなりの差をつけてリーグ最少。
そんな鉄壁のジャイアンツを再び取り戻せ!というわけで守備の名手だった川相さんが取り入れたのがこの当て捕り用の特殊なグラブを使用した練習です。
このグラブはおそらく久保田スラッガーの市販品でしょう。
こういう変わった形状の練習用グラブはわりと昔からあったようですね。
ではこの練習でどういう効果が期待できるのか?
以前からこの練習を取り入れている西武の源田の話では「ボールが反射する角度を覚えるには良い」んだそう。
もともと当て捕り派だった選手は持ち替えが速くなったりより精度が上がる可能性があるし、掴み捕り派の選手にも何か発見があるかもしれません。
この練習で今季は少しでもエラーが減るといいですね。
タイヤの上に乗ってのフレーミング練習
次に面白いなと思ったのは三軍の捕手たちが行っていたタイヤの上に乗ってのフレーミング練習です。
これは市川バッテリーコーチの発案なのかな?
タイヤの上に乗ってやることで体幹やバランスの強化につながるしチューブで負荷をかけることでキャッチングの角度を自然に習得できたり腕の強化につながりそうな気が。
こんな感じのいろいろな能力を上げることができる「複合的なトレーニング」というのは凄く良いと個人的に思います。
野球の練習はひとつのことを苦しみに耐えながら延々とやるというイメージがあるけど、サッカーの練習なんかは実践に即した複合的なトレーニングが重要視されるようになってきました。
俗にいうインテンシティの高いトレーニングというやつ。
そこに楽しみとか面白さみたいな要素があればなおのこと良しですね。
サッカーの世界ではそういう効果的なトレーニングを発案できるかがコーチの能力を評価する大きな基準になるとか。
三軍ではこのタイヤに乗っての捕球練習以外にもいろいろ面白い練習を行っているようでした。
これらのユニークな練習をしっかり血肉にし、ホークスの甲斐くんのように育成から正捕手を目指して頑張ってもらいたいですね。
股をくぐるスライディング練習
こちらは今季から外野守備兼走塁コーチに復帰した鈴木尚広コーチによるユニークな練習法。
見ての通り低くて速いスライディングを意識させるのが目的だとは思いますが、萩尾が鈴木コーチに頭をぶつける場面もあり大いに笑わせてもらいました(笑)
この練習以外にも鈴木コーチは基本の練習に加え自分の経験を基にしたユニークな練習方法をいろいろと取り入れています。
走塁・盗塁については一家言ある方なので、今季はジャイアンツの弱点である「足」の部分をしっかり強化してくれるでしょう!
ちなみに盗塁時のメンタル的・技術的な部分は以前BASEBALL KINGのインタビューで語ってました。
・【インタビュー①】鈴木尚広の新たな挑戦!「27.431」から「42.195」の世界へ
15種目のケースバッティング
最後は今季から打撃チーフコーチに就任したデーブこと大久保博元さんの指示のもと選手たちが行っているケースバッティング。
室内練習場の打撃ケージ1カ所を占有とし、15のうち1場面でも失敗すれば一からやり直し。考案した来季1軍で打撃チーフコーチを務める大久保博元氏(55)は「チームが打てない場合、点を取るための作戦を監督が使うとき必ず必要になるのがチーム打撃」とし、1年を通じて定期的に実施する方針だ。
ケースバッティングは以下の15種目(通り)です。
- セフティーバント
- バント(ランナー一塁/一塁方向へ転がす)
- バント(ランナー一、二塁/三塁方向へ転がす)
- バント(ランナー二塁/自分で判断)
- バント(セフティースクイズ)
- バスター(ヒット狙い)
- バスターエンドラン
- スクイズ
- エンドラン(ノーアウト/ゴロを打つ)
- エンドラン(1アウト/ヒット狙い)
- 進塁打(ランナー二塁/ゴロを打つ)
- 進塁打(ランナー一、二塁/外野フライを打つ)
- セカンドゴロ、ショートゴロ(ランナー三塁)
- ファール打ち(投手に球数を投げさせる)
- 犠飛(ランナー三塁)
これらを全て成功させなければならず失敗したら最初からやり直しというなかなか厳しいルール…。
この練習についてデーブコーチは「完全に規制のかかる打席がチーム打撃だから。それを徹底させる」「1回でもやる可能性があるなら準備をさせる」「首脳陣も選手も言い訳できないように。非常口はいらない」と語っていました。
・巨人“デーブ流改革”15通りのケース打撃指示 「非常口はいらない」妥協許さない姿勢鮮明
ただ、こちらに関してもジャイアンツだけがやっているわけではなく、程度の差はあれどどのチームも同じようなことをしているみたい。
・【ソフトバンク】リチャード本塁打打って叱られ涙…エンドラン練習で「意識見えてこない」指揮官
15種目と聞けば多い気もしますが、よくよく見ると基本的というか最低限のケースバッティングですね。
例えばランナーの状況に応じたバント。
ランナーが一塁なら一塁側か三塁側にきっちり転がす。ランナーが一・二塁なら三塁方向へ転がすのがセオリーとか。
バスターの練習なら内野の守備位置を見ながら基本は一塁か三塁側に強いゴロを打つ、バスターエンドランは演技力も大事なのでしっかりバントをする雰囲気を出す、など。
普通のエンドランの場合はノーアウトの場合なら絶対ゴロを打つ、1アウトの場合は最悪アウトになってもいいのでコンパクトなスイングでしっかりミートすることが大事、など。
進塁打に関してもランナーが二塁ならセカンド方向にゴロを打つとか、攻撃の基本をまとめたものだと思います。
選手たちも当然分かっていることだけど、毎日の練習に組み込むことで体に染みこませようという考えなのでしょう。
原監督は動きたいタイプの監督なので、デーブコーチは試合中にどんな指示が出てもしっかり応えられるように少しでもプレーの精度をあげておきたかったのかもしれません。
去年何度も失敗した送りバント対策を川相さんにお願いしたのもその一環。
「バントはゲームの中で必要な作戦の一つ。9割は成功させないといけない 川相」
送りバントは得点期待値を下げるプレーなので批判が多いですが、得点確率が上がる場面もあるのできっちり成功させられるなら大きな武器になります。
通算533犠打で成功率.906を記録した川相さん効果で少しでも成功率が上がればいいなと思います。
さらに、ケースバッティングが体に染み込んでくると、中枢神経系の疲労を抑えたりプレー選択の助けになるという副産物を得られるかもしれません。
長くなるので詳細は省きますが、現在のスポーツにおいては身体の疲労と同じくらい頭の疲労を抑えることが重要になっていること、プレーの基準があるほうが選手(特に考えるのが苦手な選手)はパフォーマンスを発揮しやすいこと、などがその理由です。
打撃チーフのデーブコーチは、日本スポーツ協会公認スポーツドクターの資格を持つ順天堂大の小林弘幸教授にフィジカルやメンタル的な部分を細かく相談しながらこれまでの自分の経験や打撃理論をもとに練習メニューを組んでいるみたいです。
彼の指導については賛否あるようですが、選手たちの成績が少しでも上がればいいなと期待しています。
以上、ジャイアンツのユニークな練習方法でした。
コメント
minamiさん。あけましておめでとうございます。
素人丸出しの私自身のコメントは毎年、送信後にたいへん恥ずかしい思いや反省点も多々ありますが(・・;)今年も宜しくお願い致しますm(_ _)m
さて今年の巨人ですが私個人の前提条件として①WBC組は戦力外で出場する4人が1年間、1人もいない最悪のペナントを想定してます。WBCで大活躍する岡本、戸郷、大勢、大城各選手、全員抜きの戦力値は底地が低すぎて正直、優勝どころか5割でAクラスも厳しいと思います(T_T)②コーチ陣の多彩な練習は素晴らしいのですが、お肉料理(即戦力、固定)が得意の原監督にコーチ陣が、監督不得手の新鮮魚(育成、入替)の食材を用意していて本番の采配とミスマッチするのではと不安です。将棋の羽生先生と同じく、最新データーを取り入れた上で監督長年の灼熱のジャイアンツ愛と勝利&育成の玲瓏な奥行きに期待してます③今年も戦力足りないなあ、大丈夫かなあ?と感じた弱小ダイエーホークス時代と巨人が今やひっくり返った感じがして少々寂しいです(;_;)選手の皆様には1年間、それぞれの壁を必ず突き抜けて這い上がると絶対的な自信を持ってそれぞれの開幕を迎えて頂きたいです。長文失礼しました。頑張れジャイアンツ&ホークス。
九州の六等星さん、コメントありがとうございます。
いつも熱いコメント楽しく読ませていただいてますよ。
WBCに出場する選手たちには大活躍してほしいですがくれぐれも怪我や燃え尽き症候群には気を付けてもらいたいですね。
ペナントも大事ですから。
WBCも優勝してペナントも優勝してほしい!
今年のホークは戦力十分ですね。ちょっとギータの調子が心配ですがそれを補って余りある戦力かも。
ジャイアンツの選手たちもこの時期の頑張りが実を結んでくれるといいですね。
我々は今季も目いっぱいチームを応援しましょう!