4回6安打2四球4失点。
前回、前橋での中日戦で2回しか投げられず4失点を喫し、登録を抹消されていた菅野の復帰戦は前回同様厳しい内容でした…。
ジャイアンツのエース菅野は今季、腰痛や体調不良に悩まされながらも、投球フォームの改造やグルテンフリーの食事に取り組んでいます。
この記事では、菅野のフォーム変更の理由と効果、グルテンフリーの食事のメリットとデメリットについて私なりに分析してみたいと思います。
菅野智之の苦闘と投球フォームの変化
この試合の菅野は、ストレートの球速があまり出ていなかったし、それ以上に小林のミットに辿り着くのが精一杯といった感じで球に力がありませんでした。
良いときの菅野はキャッチャーのミットにボールが入ってもまだ十分にパワーが残っているような力強いストレートを投げていたのに、今シーズンはそういうボールをほとんど見られていません。
苦肉の策?菅野のフォーム変更
この試合のフォームを見ても躍動感があまり感じられなくて、いつにもまして上半身だけで投げている感がありました。
歩幅も狭くなって体の開きも早くなり、リリースポイントが打者から遠くなっているので、ボールのキレやノビも悪化し、打者からも見やすくなっているのかもしれません。
これは菅野本(菅野智之のピッチングバイブル)のフォーム解説の写真。
良いときの菅野のフォームは下半身がどっしり安定しているし、右肩の開きをぎりぎりまで我慢できている感じ。躍動感も凄い。
菅野自身、「横を向いている時間が長いことはとても大切な要素」「横の動きの粘りが打者のタイミングを狂わせて差し込んだり、前に出させたり、空振りさせることにつながる」と語っています。
画像のサイズをある程度合わせて9/15の投球を重ねてみると歩幅や腰の高さがかなり違うことが分かります。マウンドが違うし完全に同じ方向から撮ったものではないので多少ズレはあるけど。
このフォーム変更は腰の痛みを軽減するための苦肉の策なのでしょうね…。
自分でもやってみたけど、歩幅が狭い方が確かに腰は楽。
しかし、投球フォームのベースは東海大時代と同じで、これまでの練習や試合の蓄積によって作り上げた再現性の高いフォームだと凄く自信を持っていたようなので、フォームを変えざるを得ないのは辛かったと思います。
歩幅を狭めて投げることのメリット・デメリット
歩幅を狭めることに関しては良いところも悪いところもあります。
元カープの黒田さん曰く、「歩幅が広ければ広いほどバッターの近くでボールを投げられるので当然優位。メジャーの投手との差を感じたポイント」と言っていました。数十センチ前にプレートがあるのと同じだから当たり前とも。
ただ、それをうらやんでも仕方ないので自分のできるピッチングのなかで良い球を投げるしかないと締めくくるところが黒田さんらしい。
あとは、岩隈さんも打者に18.44メートルを近く感じさせるために少しでも前で投げたいと言っていました。
逆に、歩幅を狭くすることで高い位置からボールを投げられるようになりコントロールが良くなったり打球が飛ばなくなったという投手もいます。(斉藤隆さんとか佐々木主浩さんとか)
最近ではカープの大瀬良くんが歩幅を狭めて結果を出していますよね。
なので、一概に「歩幅を狭める=ダメな投球になる」ということではありません。
まあ、菅野の場合は今までの完成度があまりに高かったので、新投法で同じくらいの完成度になるのは簡単ではないのかもしれません。
「今後も何とか試合を作っていく形を継続することになると思います。バッターを圧倒して、というところは見せられないので、歯がゆい部分はあるのですが──」
腰痛が発現した7月のコラムにこう書いてありましたが、腰という厄介な部位の怪我を抱えてのプレーがいかに大変なのかが本人もよく分かっていたのでしょう。
原因不明?の体調不良とグルテンフリーの食事
さらに、今季の菅野の不調には腰痛以外にも要因があったようです。
5月に一度登録を抹消されて、6月に復帰して以降「体のけだるさが抜けない」「腰から下の感覚がない」等の異変が起こっていたとのこと。腰から下の感覚がないのはやばいですね…。
その後、「精密検査を受けたが原因は不明で、食生活から見直そうと思った菅野が「グルテンフリー」を取り入れ効果を実感した」という報道がありました。
グルテンフリーとは?
グルテンフリーとは、主に小麦(その他大麦やライ麦など)の穀物に含まれるたんぱく質から生成される「グルテン」を摂取しない食事、またはそのグルテンを含んでいない食品のことを言います。
よく似た言葉に「グレインフリー」がありますが、これはグルテンを含んでいない米など、全ての穀物を摂取しない食事のことです。
グルテンフリーの食事は、テニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ選手が取り入れてパフォーマンスを向上させたことで有名になりました。
菅野の体調不良は小麦や乳製品のアレルギーが原因
実はこの話には続きがあります。
菅野の体調不良は原因不明ではなく、小麦類や乳製品を受け付けない体であることが原因だったみたいです。
菅野自身が書いたコラムによると、血液検査で甲状腺の異常や胃腸の弱体化が判明し、アレルギー検査を受けた結果判明したそう。
➡菅野智之コラム「グルテンフリーと乳製品を抜く食生活の改善で体調はすこぶる良く、パフォーマンスにも好影響」
パフォーマンスアップや健康のためにグルテンフリーを取り入れたのではなく、単純にアレルギーだからという理由があったということですね。マスコミはいつも適当…。
ジョコビッチと同じ「セリアック病」ではないと思いますが、グルテンアレルギーやグルテン不耐症、そしてカゼイン不耐症だったのかもしれません。
菅野はグルテンフリーについていろいろ調べて、MLB球団や欧州の主要なサッカークラブでもグルテンフリーを導入し結果を出していることを知ったそうです。日本ではカープの菊池涼介選手が取り入れているみたいですね。
そして、グルテンフリーを取り入れたことで体調はすこぶる良くなり、メンタル面も安定してきたと感じていると答えています。それまで体調不良の原因が分からずとても苦しんでいたらしい。
グルテンフリーのデメリット
しかし、グルテンフリーにはメリットだけでなくデメリットもあるという研究結果があります。
栄養素が不足したり病気になるリスクが増える
グルテンフリーの食事は、穀物に含まれる食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足する可能性があります。
また、グルテンフリーの食事をする人は、糖尿病や心臓・血管の病気になるリスクが増えるという研究発表もあります。
グルテンフリーの食事は、アレルギーのある人やセリアック病の人には必要なものですが、そうでない人にとっては必ずしも健康に良いとは限りません。
ここ数年、ペット市場でもグルテン&グレインフリーが一般化していましたが、最近グレインフリーの餌が犬の心臓病(拡張型心筋症:DCM)と関連性があるという研究結果が出て、グレインフリーの餌を与えるのをやめた飼い主も多いそうです。
食事に手間がかかる
さらに、グレインフリーほどではないもののグルテンフリーも結構手間がかかります。
特に外食が多い人は大変…。
菅野は、グルテンフリーの食事に切り替える前は「食べたいものを食べたい分だけ食べる」という生活を続けていたようなので、いろいろきついだろうなぁとも思います。いつも試合前に食べていた蕎麦もやめたみたい。
これまでは極力ストレスのないような環境で過ごすために、ルーティンも持たないようにしていたらしいので、気をつけなきゃいけないことが増えるのはなかなか厄介ですね。
さいごに
アスリートはわずかでもパフォーマンスを上げられるなら何でも取り入れたいと思っている人がほとんどです。
しかし、どんなことでもメリットとデメリットがあるので、それらを比較衡量してひとつひとつ選んでいかなければいけません。
菅野は「○○だから○○」と原因と結果が分からないと不安になるタイプなんでしょうけど…
いろいろなことを複合して考えるとドツボにはまりそうなので、まあ、今はまず腰痛をしっかり治療してほしいというのが正直なところです。
腰の怪我はなかなか治らないので、少しずつ「心理的なストレス」を感じるようになります。
そのストレスが脳の機能の不具合を誘引して「身体化(ストレス反応が身体に現れること)」が起こり、原因不明の体調不良を起こすことも多々あります。
とにかく今は、腰痛と腰痛からくるストレス、食べ物のアレルギー反応、チームに貢献できていないストレスなどが重なり合って苦しい状況だと思いますが…
9/16から再び登録抹消になったので、ひとまずはレギュラーシーズンの後のことは考えないようにして、10/9から始まるCSファイナルステージでしっかり投げられるように調整してもらいたいですね。
今季苦しんで試行錯誤した全てのことは、今後の野球生活にきっと役立つはずです。
フォーム変更に関しても、今後怪我をしたり加齢で股関節の可動域が狭まったりすることも十分考えられるし、ずっと試したいと言い続けていたプレートの位置の変更や身体の総点検、意識の改革など、怪我をしなければできなかったことがいっぱいあったと思います。
好調時なら思い切ったトライができないけど、不調時ならいろいろできる!
それらが投球の幅を広げたり質を向上させることができたかは本人しか分からないことですが、これまでより多くの引き出しができたのは確かでしょう。
腰痛が完全に治ったとき、これまでの試行錯誤したさまざまな事柄がどんな化学変化を起こすのかが個人的にはとても楽しみです。
まだまだジャイアンツのエースとして頑張ってもらわないといけませんから、無理せずひとつひとつ丁寧に解決していってほしいですね!
コメント
菅野、もう優勝はほぼ決まってるんだから、CSまで休んでて欲しいですね。やっぱり腰に問題があるみたいなので、1カ月休めば多少はましになると思うんですよね~。日本シリーズ優勝のためには、確実に菅野の力が必要なので、しっかり治して戻って来て欲しい!!
Fujiwaraさん、コメントありがとうございます。
投げさせるのが早すぎますよね。
腰は10日やそこいらではなかなかよくなりません。
本人は投げたがるかもしれないけどそこはコーチやトレーナーさんがしっかり止めてほしいです。
今無理して今後に影響したら困りますから!
ちょこちょこ1軍に上げるんじゃなく、しっかり治してほしいですね。
まだまだ復帰は早すぎたようですね。クライマックスに間に合ってほしいけど、今回のように中途半端に戻って打たれるくらいなら投げないほうがいいと思います。今回どういった経緯で復帰させたのかわかりませんが、その辺の見極めはコーチがしっかりしてほしいです。ファンは出場したからには菅野らしいピッチングをしてくれると期待するわけですから。
恥ずかしながら巨人ファンさん、コメントありがとうございます。
全くもってその通り…!
どう見ても復帰は早すぎたし、菅野自身も今は責任よりもしっかり治すことを考えてほしいですね。
本人がいけると言えば、周囲もそれに頼ってしまうし、そういう存在の選手ですから。
とにかく今は焦らずにちゃんと治してくれるよう祈るばかり。
思うように投げられない姿を見るのはファンとして非常につらいものがあります。
minamiさん、菅野は、今シーズンはCSにも出たらダメですよね。
来シーズンまでしっかり養生しなければ、今後の菅野は見られなくなります。
ちゃんと直してから出てほしいところです。
東海大OB(原と同期)さん、コメントありがとうございます。
ちゃんと治してからじゃないと今後が心配ですよねー。
色々試しているみたいだけど、それが逆にストレスになったりしないように
心身ともに健康でいられるよう願ってます…!
菅野はCSまで休ませましょう。
今年は投げさせないという選択もありますが、やっぱり菅野がCSや日本シリーズに投げるのを見たいです!
kiyoharaさん、コメントありがとうございます。
今年の菅野はCSで投げても圧倒的な投球はできないかもしれない…でも出なきゃ出ないで後悔とか、物足りなさとか、
本人もファンもモヤモヤしちゃいそうですよね。
CSまでに完全に治れば言うことなしなんですが。
腰だからなぁ~(;´д`)完治は無理だろうな~。