久しぶりの更新です。
新外国人の加入など、来季の補強の話が着々と進んでいるみたいですが、今回は「走塁面」のお話。
投手陣の立て直しや点を取れる打撃陣の形成などやらなければいけないことが盛り沢山のジャイアンツ。しかし、地味に改善してほしいのが走塁と盗塁です。
DELTAさんのデータが有料になったので詳細な数字は書けませんが、今季ジャイアンツの走塁面の指標を表すUBRとwSBはともにマイナスでした。
UBR(Ultimate Base Running) 盗塁以外の走塁での得点貢献
盗塁、盗塁死を除く走塁での貢献を得点化した指標。
リーグの平均的な走者と比べてどれだけ多く走塁で得点を生み出したかを表す。
安打の際の進塁、タッチアップ、併殺崩しなどが評価の対象となる。
wSB(weighted Stolen Base runs)
盗塁での貢献を得点化した指標。リーグの平均的な走者と比べてどれだけ多く盗塁で得点を生み出したかを表す。
平均的な走者であればゼロとなり、優れた走者では正の値、平均より劣る走者では負の値となる。wSBが3であれば、理論的にはその走者が盗塁することによって同じ盗塁企図を平均的な走者が走る場合に比べてチームの得点が3点増えたと評価できる。
チームの得点に与える影響という意味では、一般的に盗塁の失敗による損失は盗塁の成功による利益の2倍にのぼる。盗塁の成功数や盗塁成功率による評価では得点のインパクトでチームにどれだけの利得を与えたのかを把握することは難しいが、wSBでは具体的に得点の価値で盗塁に関する働きを評価することができる。
首位ヤクルトは両指標ともにプラス、2位阪神はwSBがダントツトップということからも軽視はできない指標だと思います。ちなみに三連覇中のカープも高いUBRを記録していました。
ジャイアンツは打撃重視で走塁に対する意識が低い選手が多いのか元々UBRは低いのですが、wSBに関しては若い頃の坂本や鈴木尚広元コーチの貢献が大きく、2014、2015年くらいまではリーグトップでした。
2017年頃からwSBがやや悪化するも2019年は両リーグトップの数値を回復(盗塁数は61個→83個)。これは鈴木尚広さんが一軍外野守備走塁コーチに就任し一塁ベースコーチを担当したのが大きいかもしれません。
鈴木尚広さんは「一身上の都合」で日本シリーズ目前の大事な時期に退団しましたが、盗塁に関しての指導力や一塁ベースコーチとしての能力は高かったのでしょう。
2020年は両指標ともにまずまずのプラス。走塁+盗塁でリーグ平均よりも6点ほど多く稼ぐことに成功しています。
そして、今季2021年は前述のとおり両指標共にマイナス…。
高いUBRを記録した選手は松原、廣岡、重信、梶谷、丸、尚輝など。特に松原は両リーグで3番目に高い数字を残しており、走塁だけで平均よりも4点以上稼いでいます(セでは阪神の中野と並んで首位)。
一方走塁面で足を引っ張ったのは岡本、スモーク、若林など。そのなかでも岡本さんは両リーグワーストのマイナスを叩き出していて、走塁で平均よりも8点以上多く失っています…。
これが打撃部門二冠の岡本さんと松原のWAR(打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標)がほとんど変わらない理由のひとつですね。
ちなみに岡本さんと同ポジションで、今後も打撃のタイトルを争っていくであろうヤクルト村上のUBRは塩見や山田などの足自慢を抑えチーム1位(12球団合わせても7位)。打撃だけではなく足でもチームに貢献しています。
さらに盗塁に関しても来年は20個くらい狙っているらしいので走塁面の意識の高さが伺えますね。
「後半戦は体がついてこない部分があったので、なんとかそこを乗り越えられるような体作りができたら20個ぐらいは(盗塁が)狙えるんじゃないかと思います」と断言。盗塁数はルーキーから右肩上がりとなっており、今季は12個を記録。プロ5年目となる来季へ足でも魅せるべくヤル気満々の様子だった。
岡本さんは村上と違って走力に自信があるタイプではないしケガのリスクもあるので盗塁で競う必要はありませんが、走塁に関しては足が遅くても平均くらいの指標の選手はたくさんいるのでそこを目指してほしいです。
もちろん盗塁や走塁がダメだったのは選手だけが悪いわけではなくコーチ陣の責任も大きい。
今季、主に一塁ベースコーチを担当していたのは村田野手総合コーチ。
村田さんは打撃面ではホームラン王を2回も獲得した強打者ですが、盗塁は15年間で成功14回失敗20回、UBRも確認できる2014年以降は毎年リーグワーストクラスと足で魅せるタイプの選手ではありません。
鈴木尚広さんと村田さんのどっちが一塁ベースコーチとして嫌かと聞かれると100人中95人以上の投手が前者と答えるんじゃないでしょうか。
一塁ベースコーチには走者の盗塁や走塁を助けるという大きな仕事があります。
今季8盗塁(失敗4)に終わった増田大輝が「メンタルの部分でちょっと考えすぎた。警戒された中で走るという難しさを知った1年だった」と振り返っていますが、そのあたりは同じように警戒された中で盗塁を成功させてきたような走りに長けたコーチならもっと助けになれたんじゃないかと思ってしまいます。
来季は外野守備兼走塁コーチの亀井さんと打撃兼内野守備コーチの村田さんが一塁と三塁のベースコーチを担当しそうな感じですが…亀井さんは三塁のほうかな?
となると、また村田さんが一塁を担当する可能性もあるわけで…。一塁が亀井さんで三塁が元木ヘッドならいやらしい走塁ができそうなんですけどね。
あと、個人的には盗塁担当のコーチが一人欲しい!
ただ意識の問題だと思うんでね。まあそこはやっぱり数こなして経験していく、あとは恐怖ですよね。怖ささえなくなればね、まぁどんどんいけると思うし。そこはもう経験すればだんだん怖くなってくるのは当然なんですけど。そういうとこをこう話し合ってね、どう取り除いていくかっていう風に思ってますけどね。
まぁ盗塁の部分ではね、僕もちょっと勉強不足でね、あれですけど、まぁそこは自分でしっかり勉強してね、伝えていけたらなと思います。」
11月に行われた囲み取材で走塁面の指導について聞かれた亀井さんはこう答えていました。
走塁に関しては期待できそうな気がしますが、盗塁に関しては亀井さん自身もちょっと不安に思っている部分がありそうです。
シーズンを通しての指導は無理でもキャンプ中だけでも盗塁のスペシャリストにアドバイスをいただくということは無理なんでしょうかね。
2012年の古い記事だけど、槙原さんと赤星さんの対談で、赤星さんは巨人キャンプで盗塁のスタートのしかたとかを松本さんや藤村さん、鈴木さんなどに聞かれてうれしかったらしいです。
例えば巨人のキャンプに行ったりすると、松本や藤村といった僕に似たタイプの選手たちが「盗塁のスタートのしかたを教えてください」とか、積極的に聞いてくれるんですね。若手じゃないけど鈴木尚広は、「連絡先を教えてください」とまで言ってくれた。うれしいじゃないですか。
2003年61個、2004年64個、2005年60個(バケモノすぎる…)。この数字には絶対届かないと思うけど赤星さんの指導を受ければ松原や尚輝あたりの盗塁数はもっと増えると思います。
駄目もとで頼んでみて欲しい!
以上、長々と書きましたが、来季は走塁面の改善にも注目したいと思います。
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