2月1日、ジャイアンツの2025年春季キャンプが開幕しました。
甲斐拓也、田中将大、ライデル・マルティネスといった大物移籍組に加え、期待の新人たちも合流し、例年以上にフレッシュな雰囲気に包まれています。
しかし、私が毎年最も楽しみにしていた菅野の姿は今年は見当たりません…。
時を経て実現したメジャー挑戦
2020年のオフ、一度は断念したメジャー挑戦。あれから4年の時を経て、今度は海外FA権を行使する形で菅野がついにその夢を実現させました。
→菅野投手がオリオールズ入団会見で意気込み|読売ジャイアンツ公式サイト
35歳での挑戦は年齢的には決して有利とは言えませんが、私は前回よりも今の方がむしろ良い状態だと感じています。
2020年は14勝2敗という輝かしい成績を残しながらもどこか不安定さを感じる投球もありました。しかし、その後の4年間で菅野は大きく進化を遂げました。
進化のための4年間
メジャー断念後は成績が示す通り、かなり苦しいシーズンが続きました。
防御率は3点台後半まで上昇し勝ち星も伸び悩んで、ジャイアンツの大エースと呼ぶには厳しい時期だったと思います。
それでも菅野は食事、トレーニング、投球フォーム、あらゆる面で改善を重ねていました。
私は毎年、「今年は何を変えたんだろう?」「投げる球は変わったかな?」と彼の進化を追いかけるのが楽しみでした。
そして2024年。春先から久保コーチの指導のもと新たな投球スタイルの確立に取り組み、大きな変更を加えていきました。
最初こそぎこちない部分もありましたが徐々にそれが形になり、特にカットボールの質の向上は目を見張るものがありました。
意味深かった投球間隔の変化
2024年、私が特に注目したのは投球間隔の変化です。
これまでの菅野とは明らかに違う速いテンポでの投球。ランナー無し時はもちろん、かつて12球団で最も遅かったかもしれないランナー有り時でさえ明らかに速くなっていました。
実際のデータを見るとその変化は歴然。2023年と比べてランナー無しで2秒以上、ランナー有りで4秒以上の短縮。さらにメジャー挑戦が取りざたされた2020年と比較するとその差は驚くべきものでした。なんとランナー無しで6秒近く、ランナー有りでは8秒近くも速くなっています。
シーズン中、投球を見ていて「これはメジャーのピッチクロックを意識しているんだな」と思う場面が何度もありました。テンポを上げても投球の質が落ちないほどフォームが完成されていることにうれしさを感じる反面、メジャー挑戦への準備かもしれないと思うと寂しくもなったものです。
高木豊さんが様々なメディアで「菅野は投球間隔が長いからメジャーでは難しい」と指摘していますが、前述の通り、菅野はピッチクロックを意識して、2024シーズンはランナー無し時規定投球回到達者中2位の速さまで改善しています。
→メジャー初挑戦の菅野がまず乗り越えるべき壁は? 「ピッチクロック」と高木豊氏 「意外と投球間隔が長い」「自分主導で投げるとか」
確かにランナー有り時は13位(全体の真ん中よりやや速い程度)とまだ改善の余地はありますが、ここまで投球間隔を縮められればピッチクロックへの対応は十分可能だと思います。
メジャーでの挑戦に期待を込めて
確かに35歳での挑戦は簡単ではありません。メジャーの「バケモノ」たちと比べれば、純粋な球質では及ばない部分もあるでしょう。
しかし、日本で積み上げてきた経験、常に進化を続ける姿勢、そして何より野球に対する深い理解。これらを武器に必ず道を切り拓いてくれるはず!
たとえ結果が思うようにいかなくてもそれは決して恥ずべきことではありません。2017年のWBCで見せた投球が証明しているように、全盛期であれば間違いなく通用していた実力の持ち主ですから。
私にとっての菅野智之
プロ野球選手の中で、私にとって菅野智之は間違いなく最も好きな選手です。これは今後も変わらないだろうと確信しています。
確かに表面的な部分だけを見れば好き嫌いが分かれる選手かもしれません。しかし、深く知れば知るほど、その素晴らしさが分かる。これは多くの菅野ファンが共感してくれるはずです。
ジャイアンツの絶対的エースとしての実力は大前提として、自分の考えを明確に言語化できる知性、それを自然な表現で伝えられる話術。常に向上心を持って様々なことにチャレンジする姿勢。介助犬の普及活動をはじめとする社会貢献への積極性。
マウンドでの豊かな表情で喜怒哀楽を表現する、原監督譲りのエンターテイナーとしての一面も魅力的です。
年齢を重ねるごとに、自分だけでなくジャイアンツというチームを強くするため、主体的に後輩たちの面倒を見たり、試合中も鼓舞したりする姿も印象的でした。
個人的に大好きなのは、小林の前で特に喜怒哀楽をはっきり出す、いわゆる”ツンデレ”な一面。そんなちょっとした人間味もファンとしてはたまらない魅力の一つです。
そして何より、常に期待を背負いながらその期待に応え続けてきた強さ。多くのプレッシャーを跳ね返し前に進み続ける姿はまさに”ヒーロー”と呼ぶにふさわしいものでした。
野球の純粋な技術だけを見れば菅野より上手い選手は過去にも、そして将来にもいるかもしれません。しかし、内面も含めた総合的な魅力という意味で私にとって菅野智之以上の選手は存在しません。
おわりに
春のキャンプ、いつもの菅野の姿が見られないことに寂しい気持ちはありつつも、今は彼の新たな挑戦をファンとして見守りたいと思います。
菅野の退団に加え、盟友の小林の出場機会も減ることが予想される中、これまでスガコバ推しで応援してきた私としては来シーズンからどうしたものかという感じではありますが…菅野がジャイアンツに戻ってくるか、あるいは自然と強く応援したいと思える新たな”推し選手”が現れるまではゆる~く「箱推し」という形でジャイアンツを応援することになりそうです。
そしていつの日か、また東京ドームのマウンドでジャイアンツの大エースの姿が見られることを密かに願っています。
コメント