2月1日に始まった2024ジャイアンツ春季キャンプでしたが、あっという間に時間が過ぎ、28日に無事終了しました。
選手たちは昨年の悔しさをバネにしてオフの間にしっかりトレーニングしてきたようで、コンディションの良さが目に見えて分かりましたね。
阿部慎之助新監督の「MVPは全員」という言葉にも納得の良いキャンプだったと思います。
私が今回の春季キャンプで良い意味で驚いたのは、投手・又木鉄平と打者・佐々木俊輔の二人のルーキーです。
OP戦絶好調!ドラ3ルーキー佐々木俊輔の打撃の感想と評価
佐々木俊輔のプロフィールと春季キャンプでの活躍
又木については以前感想を書いたので、今日は佐々木俊輔について書いてみたいと思います。
佐々木俊輔(#44)は即戦力の外野手としてドラフト3位で指名され、日立製作所からジャイアンツに入団した24歳。愛称は“ジョージ”です。
春季キャンプで初めて彼のプレーを見た時の私の感想は、足〇・肩◎・守備の上手さ△・打撃△という感じ。
足と肩は十分一軍クラスだけど、打撃に関しては「即戦力としてはどうなんだろう…」と正直思いました。
しかし、結果は春季キャンプの実戦5試合で20打数9安打10打点の大活躍!
私の目は節穴だったみたいです(苦笑)
なぜ打てるのか?佐々木俊輔の打撃フォームの特徴
なので、なぜ佐々木が打てるのかについて少し考えてみました。
私が最初「打撃に関しては厳しいかも」と思ったのは、彼のフォームを見た時です。
こちらから背番号がはっきり見えるくらい体を捻っていたので、トップの際に手が背中側に入りすぎているのではないかと思いました。
これでは顔の向きがずれてしまいバットがスムーズに出せないため、ドアスイングになりやすく速いボールやインコースのボールに対応できないのではないかと。
でも、実際に試合になるとインコースの厳しい球への反応はまだ見えてませんが、真ん中から外にかけては面白いように打つんですよね。
頭の動きが極端に少ない
不思議に思って彼の打撃をスローで見てみると、「頭の動きが極端に少ないこと」に気付きました。
前から見ると構えからトップまででこのくらい。高さはほとんど変わらず横のズレもジャイアンツマーク半分くらいです。
そして横から見ると…
少し見にくいですが、構えからインパクトまでほとんど頭は動かず。赤丸の中に収まっています。これは凄い。
軸ブレがなく右足の壁がしっかり保たれているんでしょうね。
豪快なイメージとは異なる確実性も重視したバッティング
さらに、横から見るとガニ股の大きな構えから連想する豪快なイメージとは異なり、意外と繊細というか、確実性も大事にしているのが分かります。
大きな構えからヘッドを落として、最短ではなく後ろからやや遠回りする感じでボールの軌道に合わせてスイング。
これなら点ではなく線でボールを捉えられるので、打てるポイントに奥行が出てミート率が上がる気がします。
あとはバットコントロールもなかなかで、アウトローの難しいボールに対応する巧さも持っているようです。
個人的にはパワーよりもテクニック寄りの選手だなと思いました。
気になる点はインコースへの対応と左手の返し
インコースへの対応
気になる点というか、今後打席で注目したいのはやっぱりインコースへの対応。
最短でバットを出せるスイングではないので、どうしても振り遅れたり差し込まれると思うんです。
今は相手投手も無理してまで厳しいところを攻めてはこないけど、本番になればガンガン攻めてきますからね。
ヤクルト戦でもインコースを意識させられた後に緩い球で完全に崩された時がありました。
インコースへの速いボールやそこを意識させられた後の低めのボールへの対応に注目したいと思います。
左手の返しが早い
あと、もうひとつ気になるのが左手の返しです。
彼の打撃を見ていると、手首を返すのがかなり早いなと思いました。
最近は手首を返さずに押し込んでいくことでボールにしっかりと力を伝える選手が増えてきた印象です。大谷くんとかホークスの近藤とか。
手首を返す打ち方はスイングスピードが上がってボールがよく飛びそうに感じますが、スイングの軌道が変わるのでコンタクト率が下がるなどデメリットも多いみたいですね。
門脇も去年の前半戦は手首を返すのがかなり早かった(こね気味だった)ので、これは速いストレートにはなかなか対応できないだろうなと思ってました。
逆に泉口なんかはあまり返さないきれいなバッティングのように見えます。
まぁ、打撃は人それぞれだし、昔の選手は手首を返しまくってガンガン打ってたので、自分に合う打ち方で結果が出ているならそれが正解だと思います。
佐々木俊輔の打撃に対する野球評論家の評価
最後に佐々木の打撃について野球評論家たちの評価をまとめてみました。
高橋由伸
- オリックスの森友哉みたい。
- 打球速度はMAX170キロ※タイミングが合った時は威力がある。
- 球の軌道までバットを落として振るタイプだが、一軍クラスのスピードには差し込まれてしまわないかと心配していた。
- 両肩を結ぶ線とバットの軌道が平行。この連動がインパクトで力を伝えやすい。
- フォロースルーまで下半身の強さを感じる。軸のブレもなく目線がずれないからミート力も高い方ではないか。
※「EV50」(上位50%の打球の平均速度)を参考にすると大谷翔平クラス(平均170.1キロ)の打球速度
→ジョージの3安打に納得!高橋由伸氏が変化を見た巨人ドラ3のスイング軌道|スポーツ報知
→【巨人】阿部慎之助監督が仰天 ドラ3佐々木俊輔の打球速度170キロ超「すごいなと思いながら見ていた」|スポーツ報知
鳥谷敬
- 打力に目を奪われた。
- スイングの強さ、ヘッドの使い方、ボディーバランスともに優れている印象。
- 何より相手が打撃投手でもカーブマシンでもストレートマシン、スローボールでも同じ形で強く振れている。これは簡単なことではなく、非凡な能力。
- 体を深く沈ませた「がに股打法」からしっかり強振できる点は大いに魅力。
→【鳥谷敬】巨人ドラフト3位佐々木俊輔の打力に目を奪われた理由は…広島は栗林復活が1番の補強|日刊スポーツ
内田順三
- 右打ちの外野手が欲しいチーム編成の中で左打ちの選手をドラフトで指名したのでそれだけ評価が高いのだろう。
- 森友哉を彷彿とさせる。
- 重心移動が少ないからボールを長くみることができる。
- 気になる点は逆方向への意識が強いからか、体が捕手の方向に残ってしまっている。インパクトで少し滑るような形になりインサイドがさばけなくなる。
- 修正はいずれ壁に当たった時に取り組んだらいい。今の段階ではあまりコーチングせず、そのままやらせてみる方がいい。
→巨人ドラ3・佐々木は「森友哉」を彷彿 名伯楽・内田順三氏が解説 「十分競争に食い込めるレベル」と高評価も「気になる点」も指摘|デイリー
さいごに
即戦力外野手としてドラフトで上位指名され、春季キャンプでも存在感を示している佐々木“ジョージ”俊輔。
練習だけではなく対外試合でもしっかり結果を出し、なぜこの選手がドラ3で獲れたのかという評価も聞こえてきました。
高橋由伸元監督始め、野球評論家たちの評価も高いようですね。
個人的には豪快な打撃フォームとは裏腹にテクニック寄りの選手だと思いました。
今後注目したいのはインコースへの速いボールや緩いボールへの対応。
佐々木は、3月2日から始まる台湾チームとの親善試合メンバーにも名を連ねているので、そのあたりに注目したいと思います。
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