山口オーナーの意向と高橋監督の不振
山口オーナーが高橋監督に対する来季続投要請の意向を示したのが今月12日。
何の因果かそれ以降見事なまでに勝てなくなったジャイアンツですが…
19日のDeNA戦で完膚なきまでに叩きのめされ、高橋監督がその後のインタビューを就任以来始めて拒否したことで、何やら穏やかではない憶測もチラホラ聞こえるようになりました。
続投か解任か…。
来季のジャイアンツの監督は一体どうなるんでしょう。
高橋監督の評価は賛否両論
高橋監督の評価についてはファンの間でも意見が分かれるところです。
成績不振、采配への不満など、諸々によって辞任が妥当とする意見。
そして、監督就任に至った経緯への同情や、若手育成の功績を評価して続投を望む意見…。
確かに高橋監督就任以来、ジャイアンツは不名誉記録を塗り替え続け、優勝争いからも遠ざかっています。
しかし、高橋監督のほかに誰が監督になればファンが納得できるのかと言われれば、それはそれで難しい問題ですね。
岡本や尚輝、重信といった若手を育ててくれたというのは事実ですし、いつも槍玉に挙げられる采配も、あれは監督の意見がどの程度反映されているのかが私にはよく分かりません。
なので、個人的には高橋監督が続投するか否かについては、「まあ、高橋監督のままでも別に…」というのが率直な意見です。
嫌いじゃないですし。
もう少し言わせてもらうと、「高橋監督のままでも別にいいけど、監督自身にもう少し変わってもらいたい」というのが正直なところ。
監督よりもコーチ陣にこそ是正が必要という意見もあり、それについては私も同意する部分があるのですが、その点はひとまず置いておいて、話を進めていきたいと思います。
野球監督とはどういう基準で選ばれるのか
そもそも、野球の監督とはどういう基準で選ばれるのか。
現役時代の成績や人柄、球団内の派閥などなど、様々な要素があると思いますが…
引退後何の指導経験もなく即監督に就任したり、選手兼監督といったことができることから、言ってしまえば、「野球監督というのは誰にでもなれる」というのが実情なのかもしれません。務まるかどうかは別として。
サッカーと野球の監督の違い
同じプロのスポーツ選手を指揮する立場のサッカー監督などは、講義を受け、D級→S級と段階を踏んだ試験をクリアして与えられるライセンスがなければ就くことはできません。
戦術理論やコーチング法、コミュニケーションスキル、医学や心理学ほかたくさんの講義を受けてインターンシップをこなし、レポートを提出するなどして、ようやく監督になる資格を得るわけです。
そのため、一流の選手でも監督になれない人がいたり、反対にプロサッカー経験の無い人(アリゴ・サッキ、オズワルド・オリヴェイラなど)や2部3部クラスで活躍できなかった人(ジョゼ・モウリーニョ、ユリアン・ナーゲルスマンなど)が名監督になったりというケースも。
画像参照:http://www.jfa.jp/
一方野球では、プロの選手を指導、監督する立場の人間が、経験も無くポンと指揮官の座に据えられる…。
なんだか不思議で不可解な制度のようにも思えてきます。
しかし、サッカーと野球では指揮官に求められるものが違うというのもまた然り。
サッカーにおいては、戦術が非常に重要であり、監督はチームの一員の「戦術を考える立場」としてゲームに参加し、絶えず動く戦況を見極めながら指示を出さなければいけませんが、野球の監督はそうではありません。
野球監督の個性と采配
ターン制でゲームが進行していく野球では戦術よりも潮目を読み、いかに悪手を指さずに最善手を選び取っていくかが重要です。
そして野球監督とは、勝負勘を発揮する場面でこそ個性が出るんじゃないかと私は思っています。
ハッキリ言って、データに基づいて采配を振るだけならAIにでも任せておいたほうがよほど確実な上に、失敗しても不機嫌な顔を見せられることも無いわけですから…
選手の精神衛生面を考えてもそのほうがいいはずです。
選手の起用だって、その日その日で一番調子のいい選手を選び、対戦チームのデータも考慮して最善のオーダーを組んでくれる…となればファンの不満もぐっと減るでしょう。
しかし、もしも野球がそんな様式になったとすれば、果たしてそれは面白いのでしょうか…。
私が求める野球監督像は「モチベーター」
結局のところ、ファンは成功も失敗も含めて、そのときどきの監督の個性によって毎回違った様を見せる試合を、文句を言いながらも楽しんでいるわけです。
事実、当ブログの人気記事欄(Popular posts)には負け試合がズラリ…。
みんな負け試合のほうがお好きなようです。
要は、完璧を求めているわけではないということですね。
もちろん勝ってくれるに越したことはないし、優勝して欲しいというのが第一にあります。
だけど面白い野球を見たい以上、理解に苦しむ采配も、多少はね…といったところ。
そうすると監督には一体何を求めるか…。
野球の監督に求められるもの、というか私が求めたいもの…それは「モチベーター」であるということ。
ライセンスも要らない、戦術もそれほど重要ではない、技術指導は主にコーチ、となると監督は選手を鼓舞して常に高いモチベーションを保たせる…というのがとても大事な役目なんじゃないかと私は感じています。
高橋監督のモチベーション力に疑問
だけどうちの高橋監督は、現時点ではそういった部分にあまり期待できそうにありません…。
試合中は仏頂面、話すのは主にコーチとばかりであまり感情を表に出すことも無く…。
これで選手のモチベーションが上がるはずもないと思うのです。
さらにコーチが選手をこき下ろすんだからなおさら…。
工藤監督のモチベーターとしての優秀さ
これは20日の試合、同点で迎えた重要な局面で、工藤監督が松田を打席に送り出すシーン。
工藤監督はこの回、松田だけでなくチャンスでバッターボックスに向かうほかの選手にも自ら声をかけていました。
結果、ホークスはこの局面で勝ち越し、それが決勝点となって勝利しました。
大して重要なことを話していなくても、声をかけることに意味がある…そんなことを解説の岩本さんも言っていた気がします。
工藤監督も采配面ではいろいろと言われていますが、モチベーターとしては優秀な方だと個人的には思います。
高橋監督に変化を望む
練習では談笑したり、選手たちと一緒にトレーニングすることもある高橋監督。
一緒にプレーしていた選手たちが多いからこそできる指揮の執り方もあるんじゃないでしょうか…。
高橋監督の来季続投に文句を言う気はありません。
でも、今のままではまた同じ結果になりそうで…。
そうならないよう、「高橋監督のままでも別にいいけど、監督自身にもう少し変わってもらいたい」と切に願う、いちファンの心の内でした。
コメント
これは自分の考えなのですが、ジャイアンツはプロ野球のなかでも特別だと思ってます。
ジャイアンツで活躍した選手が監督になりますし、過去を振り返っても「ジャイアンツは強くないといけない」というのが前提にあります。
しかし高橋監督にも同情の余地はありますね。
原監督が辞めて、いきなり監督からスタートして結果を求められる。
大変なのは解りますが、3年間結果が出てないのも事実です。
ジャイアンツは選手も監督も早期結果を求められ、ジャイアンツファンも早期結果を求めてしまいます。
前任の原監督が結果を出してるのも、引き合いに出されてしまいますね。
自分は桑田に監督をしてほしいですね。
kiyoharaさん、コメントありがとうございます。
ここ最近のジャイアンツを見ていると、過去の輝かしい成績がまるで夢のように感じられてしまいますが、やっぱりジャイアンツには強いチームであって欲しいと思っています。
高橋監督が就任したとき、ジャイアンツでもそういう監督起用をするのかと驚いたのと同時に、なんだかなりふり構ってられない内部事情が透けて見えたようで心配にもなりました。
しかし、選手からいきなり監督になることを求められた高橋監督にはどうしても「まあ、しょうがないか」という気持ちが働いてしまいますね。
ファンが多い分、バッシングも多いジャイアンツで監督をするのは誰であれ大変だとは思いますが、もし桑田さんが監督になったら…
丁寧な指導をしてくれそうな気がしますね(^-^)
そうするとどんなチームになるのか…気になります。
更新お疲れ様です。毎回楽しみにしております。今回の記事は鋭い洞察で、自分も考えさせられました。
Jリーグとの比較が興味深かったです。
確かにプロ野球の場合、明確な資格はありませんね。これはコーチにも言えることでちゃんとコーチングについて
勉強していない方も、少なからずいますので教えられる方も見極める目が必要ですね。
ここ最近は、巨人の無気力のような試合が続きますが、更新頑張ってください!
匿名さん、コメントありがとうございます。
ブログを楽しんでいただけて、とても嬉しいです(*^-^)
野球も、監督やコーチに資格が必要になればもっと活躍できる選手が出てきたり、いろいろと変革が起こりそうな気がしますが…
そうではないところもまた、野球の文化…なんでしょうね。
サッカーの監督とは内容が違うとはいっても、やはり指揮官ですから、うまくチームをまとめてもらわないと困ります。
ジャイアンツの監督にも、お飾りではない個性と魅力をを示してもらいたいなと思っています(^_^)
初めまして!面白い記事だったのでコメさせてもらいます。
野球監督はプレー毎の得点期待値や成功&失敗の確率をできるだけ正確に計算し期待値や確率の高いプレーを選択するのが一番無難です。
名将と呼ばれる監督はこのあたりの計算が正確なのが特徴だと思います。
これに主さんが書かれているように要所での勝負感が加わります。
5:5や4:6、3:7のように五分五分かやや成功率の低いプレーの時に流れや勘を信じて逆張りし勝利につなげる、ここに我々は感動するのです。
まあなかなか難しいですよね。解説で偉そうなことを言ってても実際監督になると全く駄目だったり(笑)
プレイングマネージャーから始めた中日の元監督やヤクルトの元監督なんかがいい例です。
負け運デグロームさん、コメントありがとうございます。
確かに逆張り采配が当たって勝てたときは盛り上がるし、チームも勢いづきますよね。
それが外れてしまったときは叩かれてしまうわけですが…(;^ω^)
名将と呼ばれるか否かは紙一重なのかもしれませんね。
解説者や我々ファンのように外野からアレコレ言うのとは全く違うでしょうし。
でもその難しさの中で、勝負勘を発揮し、チームを鼓舞して勝利に導いてくれたら…。
高橋監督にもそれらを期待したいですね~(^ー^)